プロ料理家364名によるプロのレシピ4756

特集「プロ愛用品名鑑」

File.5 小麦粉「江別製粉の国産小麦、はるゆたかブレンド&ドルチェ」

産地の努力で日の目を見た、風味豊かな北海道産の小麦粉

麺やパン、お菓子の原料になる小麦粉。その87%が外国産です。
日本のものをあまり口にしないとしたら、少し寂しい気がしませんか?

希少な国産小麦のなかで「知る人ぞ知る」というより、もはや定番となりつつあるのが、江別製粉の北海道産小麦粉。特に人気が高いのが、自然な麦の甘さが感じられ、しっとりとした仕上がりが特徴の菓子用「ドルチェ」。そして、主にパンづくりに適し、野趣のある香ばしい風味と、もっちりとした弾力ある食感が人気の看板商品「 はるゆたかブレンド」です。主に使用されている「ハルユタカ」は、国産第一号として強力小麦に登録された「ハルヒカリ」の改良品種として、1985年に生まれました。ところが当時、北海道産小麦の用途といえば、外国産小麦に混ぜる増量目的がほとんど。戦後に普及した外国産小麦と比べて、収量が少なく品質も劣るとされていたのです。特に春まき小麦の「ハルユタカ」は、生育期間が短く病害に遭いやすいため、収量も品質も不安定でした。生産量は減少の一途を辿り、一時は「幻」とまでいわれたほど。

その存在が見直されるきっかけとなったのは、国産小麦を求める生活者の声。これに応える形で江別製粉の有志数名が道産小麦の再評価を行ったのです。「国産の、北海道産の小麦は、本当においしくないの?」─。単独で粉を挽き、パンを試作すると意外な結果が出ました。さらに地元生産者の努力で、初冬まきの技術が成功(前年11月頃に種をまき地中で冬を越えて発芽するが、作付け時期の見極めが難しい)。生育期間が長い分、収量が多く病害にもあいにくい、高品質な小麦の生産が実現しました。生地を膨らませるタンパク質(グルテン)を豊富に含む国産強力粉として甦った「ハルユタカ」。大切に使いたい、大地の香りがする小麦粉です。

fin.


ブランド名鑑 File.5

江別製粉
1948 年、北海道江別市で創業した製粉会社。輸入小麦の製粉を行う一方、北海道産小麦の普及に努めている。1998年には、生産者、製粉製麺会社、大学、研究機関等と産官学連携組織「江別麦の会」を結成。幻の小麦といわれる「ハルユタカ」をはじめ、小麦の品質向上と安定した生産収穫、および加工技術・用途適性の開発などを目指す。従来、敬遠されていた国産小麦の需要を伸ばし、地位向上に貢献。現在では、全国に多くのファンを持つ。

写真


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バックナンバー
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File.2 包丁「グローバルの包丁」
File.3 チーズ「白糠酪恵舎のモッツァレッラ」
File.4 ステンレス鍋「ジオ・プロダクトの鍋」
File.5 小麦粉「江別製粉の国産小麦粉」
File.6 ハンディブレンダー「ブラウンのマルチクイック プロフェッショナル」
File.7 バター「カルピスのカルピス(株)特撰バター」
File.8 香辛料「原了郭の黒七味」
File.9 醤油「鎌田醤油のだし醤油/減塩だし醤油」
File.10 おろし金「マイクロプレインのゼスターグレーター」
File.11 酢「飯尾醸造の富士酢」
File.12 油「九鬼産業の胡麻油」
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