「ディーン・アンド・デルーカ」をはじめ、これまでも食のセレクトショップは人気を博してきたが、価格が高いことなどもあり、特に高級志向・ギフトのイメージがあった。2013年は「もう少しだけ上質なものを普段の食卓に」という傾向が強くなったようだ。「三重テラス」をはじめ物産店のオープンが相次ぐ一方、秋葉原の青果市場跡地にできた「日本百貨店 しょくひんかん」（7月）、セレクトスーパー「北野エース」の営業エリア拡大、ごはんとごはんに合うものに焦点を絞った「AKOMEYA TOKYO」（4月）など、ワンランク上の食品を買う場が急激に増えている。「個人的には横浜そごうの『平翠軒』が好きなんですが、そんなふうにセレクトの傾向も理解して使うとさらにおもしろいですね」（下井）

ビール、シャンパンだけでなく2013年に人気だったのが「シュワシュワ」。「以前から地ビール→地サイダーとブームでしたが、今年は一般に定着しましたね」（下井）。特に炭酸水はセブン-イレブンのセブンプレミアムの「そのまま飲める炭酸水」を2012年から発売し、大ヒット。「サントリー 南アルプス天然水 スパークリング」も記録的なヒットとなり、猛暑の夏が終わってからは「南アルプス天然水 スパークリング レモン」を発売させている。「美容に詳しいセレブから火が着いたブームですね。炭酸水メーカーを使って自宅で作る人も増えてきているようです。特に結婚祝いなどに贈るケースが多いようですよ」（山口）「発泡というと日本酒も随分増えていて、注目ですよ」（森崎）

2013年の外食ブームといえば、やはり「俺系」。「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」とインパクトの強い店名で登場し、現在は「俺の割烹」「俺のやきとり」など、裾野を広げている。有名店のシェフやサービスマンが本格的なホスピタリティを発揮し、値段は立ち飲みというシステムが話題で長い行列を作った。「実際にはまだ行っていないのですが、経営者の方は口を揃えて絶賛。コストパフォーマンスはやはり驚くべきものがありますね」（山口）。まだまだ勢いは衰えそうにない「俺系」。外食産業に一石を投じたのは間違いない。

発酵ブームは今年も強かった！　「料理教室の生徒さんは甘酒はもちろん、生醤油や味噌も手作りしている人が多いです」（山口）「特に甘酒が人気。炊飯器やヨーグルトメーカーで手作りして、夏は冷やして飲んで夏バテに備えているケースが多かったです」（森崎）と、料理家周辺では「手作り」が常識に。もちろん食品売り場でも発酵食品がスペースを占め、定期的に購入する利用者も多いようだ。今年は、明治ブルガリアヨーグルトが水切りいらずのヨーグルトを発売し、新しい食感を楽しむ人も。このように発酵食品で菌を上手に取り入れる活動が「菌活」と呼ばれ、「免疫を鍛える」「美容のために」と人気となった。