今、キッチンの話題を席巻しているアイテムといったら「ココナッツオイル」と「塩レモン」。どちらもおいしくて、使える料理の幅が広く、健康にもいいのが特徴ですね。ココナッツオイルは売り切れ続出の人気だし、塩レモンは自分で漬けて楽しんでいる人も多いのでは? そこで、今回の食ラボではこのふたつのアイテムについて著書もある専門家、ココナッツオイルの藤沢セリカさん、塩レモンの柴田真希さんがそれぞれの魅力についてお話をしてくれました!(まとめ・文:北條芽以)
レシピ本や健康本がつぎつぎと出版され、今、もっとも世間を騒がせている食材といえば「ココナッツオイル」。 横浜クリニック院長・青木彰先生との共著「ボケを遠ざける健康油 ココナッツオイルレシピ 」もある藤沢セリカさんにその魅力を教わりましょう。
フードソムリエ編集部(以下編集部):藤沢さんはどういうところに魅力を感じたんですか?
藤沢:ココナッツの魅力って、全部捨てるところがないんです。例えば殻の毛は工芸品、固い方は器やココブラになります。実の白いところはミルクやファイン、ファイバーなど、中にはいった水がココナッツウォーターになります。ココナッツオイルは白い部分を搾って分離させて作るものです。
編集部:メーカーもいくつかあって、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。
藤沢:「エキストラバージンココナッツオイル」
「バージンココナッツオイル」と表示されているのは間違いがないですね。私が愛用している「ココウェル」では、甘い香りを楽しむ「エキストラバージンココナッツオイル」、
料理に使いやすいように香りをなくした「プレミアムココナッツオイル」があるんですよ。摘出方法によっていろんな種類がありますね。
編集部:「パーム油」というのもココナッツオイルという意味ですけどやはり違うものですか?
藤沢:それはまた別のもので、まったく製法が違います。あまり良い油とはいえませんよ。あまり安いものは違う、と判断すればいいのではないでしょうか。
編集部:本物のココナッツオイルの魅力はなんでしょう。
藤沢:トランス脂肪酸、コレステロールがゼロ!の超優秀オイルということ。酸化も非常にしにくい。私なんて、揚げ物用の油にココナッツオイルを入れて、ずーっと継ぎ足しですよ! しかもカリッと揚がっておいしいの。
編集部:えっ! そうなんですか? 一回加熱しても!?
藤沢:そうですよ~。使ったらこして、減ったら足して。もう半年くらい継ぎ足しで使っています。ずっとサラサラしてます。
編集部:それはすごいですね! 料理の油はすべてココナッツオイルですか?
藤沢:もちろん! 揚げ物・炒め物はもちろん、お菓子作りやトッピング……油を使う場合は、「ごま油で香りづけ」というような場合以外はすべてココナッツオイルです。「ココウェル」の香りの有無で使い分けますね。
編集部:1日に使う目安はどれくらいですか?
藤沢:基本的には大さじ2杯を目安にしてするといいと思いますよ。
健康、美容、そしてやはりアルツハイマーの予防になるというのが人気の秘密だと思っています。大さじ2杯のココナッツオイルを摂ることで、ボケを防げるといわれているんですよ。ただ、お腹が弱い人はちょっと減らしたほうがいいかな?
編集部:ボケを予防できるというメカニズムは?
藤沢:脳のエネルギー源となるのはブドウ糖ですが、アルツハイマー症になるとブドウ糖が脳細胞までうまく届かない状態。肝臓で作られる「ケトン体」がブドウ糖の代わりの働きをしてくれるのですが、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸はケトン体の材料になるんですよ。健康な人にとってもアンチエイジングの意味で「1日大さじ2」摂るのは非常にいいと思います。
柴田:実は私、ヘアケアにココナッツオイルを使ってるんです。以前は椿オイルを使っていましたが、ココナッツオイルのほうがしっとりします。髪質に合っているのかも。
藤沢:私は「食べられないものを皮膚や髪に塗る」っていうのは嫌なんです。ココナッツオイルは皮脂に成分が近いからいいんですよ。日焼け止めにもなるのではないかという研究が進んでいるところです。
柴田:洗った髪にわーっと塗って全身に伸ばしている感じです。以前は好きな香りのボディクリームを使っていましたが、「この香り、本当に肌のためにいいのかな?」って思って。ココナッツオイルにしてからすごく調子がいいです。
藤沢:私は頭も、顔も、体も、全身使っています。
編集部:顔はどんなふうに使うんですか?
藤沢:顔を洗ってまずココナッツオイルを塗ってマッサージ、そのあとフェイスパックをするとすごく浸透するんです。乾燥肌なのでいろいろやってみてここに行き着きました。アンチエイジングの検査もしているんですが、使い始めてから肌年齢が下がっているんです。
編集部:弾力が出てるってことですね。藤沢さんのお顔見ると納得!
編集部:ココナッツオイルが流行る理由がわかってきました。美容、健康に幅広くいいからですね。
藤沢:そもそも健康でないと美しくはないですからね。「ボケずに健康」っていうのは万人の希望でしょう?それから、誰もが毎日のように使う「油」であるということ。いままで使っていた油を置き換えればいいんですから。
編集部:それはいえますね。特定のものを毎日食べたり、使っていなかったものをいきなり使うのは難しいですもんね。毎日食べれば結果も出やすいですから。手軽で納得です。
「やっぱり、塩レモン! 魔法の調味料で作る絶品レシピ」の著書である柴田真希さん。自身で研究を重ね、使いやすくてレシピの汎用性が高い"塩レモン使い"に定評があります。
編集部:「作ってみようかな~」と思って調べてみたんですけれど、いろんな作り方があって、悩んじゃいました。
柴田:そうなんです。塩を100%くらい入れる人もいれば10%の人もいる。レモンの切り方によって違ってくるし、難しいところなんです。
編集部:柴田さんのおすすめは?
柴田:みんなに作りやすくて、使いやすいバランスを研究したところ、1個当たり10~15g、15~20%ですね。切り方は輪切りでも乱切りでもOKですが、だいたい8~10等分になるようにして、2パターン漬けておくと便利です。
編集部:使うときのコツは?
柴田:味のポイントに使うのがいいと思います。しょっぱいですからね。
編集部:使うときの目安ってありますか?
柴田:炒めものや焼きもの、蒸しものなどで2人分に1切れ、パスタとかチャーハンなら1人分で1切れくらいだと思います。ごはんを炊くときに1合に2切れの割合で入れてバターを混ぜるバターライスはシンプルですが、すごくおいしいです!
編集部:塩レモンは手作りできるところが楽しいですよね。
柴田:そうなんです! 塩とレモンを密閉容器に入れておけばいいのでかんたんなんですよ。しばらく置いておくとはちみつレモンみたいに汁が出てくるんです。コツとしては、この汁に果肉がまんべんなく浸ったほうがおいしくできますね。
編集部:出てきた液体を使うレシピもありますが、途中で減らさないほうがいいですね!
柴田:そのとおりですね。浸からないようだったら、ビンより小さめのお皿などを入れて重石代わりにしてみてください。
編集部:梅干しと同じですね! 面白い~。
柴田:そう、使い方も梅干しと同じように考えるといいですよ。
編集部:保存は常温でいいんでしょうか。
柴田:冬はずっと常温でいいんですが、夏は塩が完全に溶けるまで、1週間くらいは常温、その後は念のため冷蔵庫に入れてください。だいたい1~2週間で完成ですが、様子を見て使い始めてみてください。使い始めたらきれいなお箸で取り出して雑菌が入らないようにすればかなり長く使えますよ。
柴田:最近はレモン味自体が人気ですよね。スパークリングウォーターとかお菓子とか。
藤沢:でも、塩レモンがダントツで人気ですよね?
柴田:やっぱり、ココナッツオイルと同じように、いろんな料理に使えるのが魅力でしょうか。調味料として、炒めもの、魚の臭み消し、冷奴にのせてもいいですよね。万能ですよ!
藤沢:まさかお菓子には……?
柴田:それが、クッキーや塩キャラメルアーモンドを作ったり、意外におすすめなのがおはぎのごはんに混ぜること!
藤沢:食べてみたい~。
柴田:つまり、「塩分のもと」として、塩、醤油、味噌などの代わりにすればいいんですよね。それから、黄色い食材って少ないので、料理が色鮮やかになるのすごく気に入っています。
藤沢:健康面はどうですか?
柴田:塩と塩レモンを比較すると、少量で塩味を強く感じることがわかっています。つまり減塩効果がありますね。香りの成分にはリラックス効果があるし、クエン酸の疲労回復や疲れにくくなること、肌の新陳代謝もよくなるでしょうね。
藤沢:野菜もおいしく食べられますしね!
藤沢:ココナッツ自体が、まだまだココナッツミルクやココナッツウォーターの魅力がもっと知られてくるだろうし、流行る余地があるんですよね。
柴田:うん、今日お話をうかがってもっとココナッツのことを知りたくなりました!
藤沢:あとはやっぱりナッツかしら。ココナッツオイルを使いながら、今、私が試しているのは「ククイの実」。ハワイでレイなどになるナッツです。"キャンドルナッツ"とも言われていて、ろうそくの代わりになるくらい油分が多いんです。このオイルがまた上質で。
柴田:知らなかった!
藤沢:でも、ハワイ、インドネシア以外では食用で使われていないんですよね。マカデミアナッツの油にも脳・肝臓にいい油が摂れますから、オイルの人気で、改めてもっと人気が出るんじゃないかと思います。
柴田:ナッツ系は気になります。
藤沢:アーモンドミルクも注目ですよ。アメリカに住んでいるときは、本当に当たり前の存在だったのが、ようやく日本で買えるようになって。乳製品アレルギーの人や、私も飲んでいたし、子供にもずっと飲ませてました。「ついに来た!」って感じです。ナッツ関係はやっぱり脳にいいですから。高齢化社会は体にいいは当然、ボケにいいのが大事! 柴田さんは雑穀もご専門ですが……。
柴田:雑穀はもっと流行してほしい! やっぱりごはんに混ぜて炊けばいいという、使いやすさは魅力ですから。
藤沢:雑穀の中でも注目ってあるのかしら。
柴田:最近、よくお仕事の依頼があるのはキヌアです。ごはんに炊き込んでもいいし、小さいので茹でたりしてすぐ使えるのは確かに便利なんですよ。栄養価も高くて、ごはんのたんぱく質アミノ酸バランスを補うのも魅力です。
藤沢:サラダにトッピングしたりもできますもんね。
柴田:食物繊維が多い大麦なんかも注目ですよね。
編集部:ココナッツオイルも塩レモンも、まだまだ皆さん使っていますから、しばらくこのブームは続きそうですね。
- 藤沢セリカ さん
- ハワイ・アイランド料理研究家。アンチエイジングアドバイザー。ハーブコーディネイター。料理研究家の母から料理を学ぶ。ハワイ滞在と子育てをきっかけに料理研究家へ。その後さまざまな国へ渡り、現地のレストランなどで修業し、多国籍料理への造詣を深める。多国籍料理ベースのオリジナリティある家庭料理をTV、雑誌、書籍などで発表し、好評を得る。著書に「おうちでハワイアンごはん60」(宝島社)「Theハワイアンパンケーキレシピ」「Theエッグベネディクト&フレンチトーストレシピ」「ボケを遠ざける健康油 ココナッツオイルレシピ」(河出書房新社)共同監修書に「ハーブとスパイスの図鑑」(マイナビ)料理担当書に「ワインの図鑑」などがある。
- 柴田真希 さん
- (株)エミッシュ代表取締役。Love Table Labo.代表。 1981年、東京生まれ。女子栄養大学短期大学部卒業後、給食管理、栄養カウンセリング、食品の企画・開発・営業などの業務に携わり、独立。 27年間悩み続けた便秘を3日で治した「雑穀」や「米食の素晴らしさ」を広めるべく、雑穀のブランド「美穀小町」を立ち上げる。現在はお料理コーナーの番組出演をはじめ、各種出版・WEB媒体にレシピ・コラムの掲載、食品メーカーのコンサルや飲食店のプロデュースなどを手がける。 著書本に「やっぱり、塩レモン!」魔法の調味料で作る絶品レシピ(河出書房新社)、しっかりごはんとシンプルおかず「おなかやせ定食」(主婦の友社)、「女子栄養大学の雑穀レシピ」(PHP出版)など。
- 【vol.18】食のプロのお墨付き!おすすめ調味料 後編
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