vol.6 若林葉子さんと「ハーブ」のおいしい関係
- この方にお話をうかがいました
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ハーブ料理研究家 若林陽子(わかばやし ようこ)さん
谷口多恵子氏に師事した後、2001年大阪でハーブスクール「with Herbs Youko」開講。各種イベント講師も務める。料理・お茶・ガーデニング・ヘルスケアなど、ハーブに関する幅広い知識を生かして、自ら育てて楽しむハーブのある暮しを提案。»プロフィール
ハーブといえば外国のものを思い浮かべがちですが、にら・しそ・みょうがなど、日本の食文化の中でも、さまざまなかたちでハーブが活用されてきました。土地土地の自然に根ざした人々の、生活の知恵と工夫が息づくハーブ。その魅力と楽しみ方を、ハーブの専門家である若林葉子さんうかがいました。
- 「ハーブ」との出会い
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14〜5年前から独学でハーブを学んできた若林さん。その活動の大きな指針となっているのが、日本のハーバリストの草分け的存在であり、恩師でもある故・谷口多恵子さんとの出会い。谷口さんのフレッシュハーブティーの味に衝撃をうけて以来「ガーデンからハーブを」というメッセージを受け継ぎ、「種をまき、育み、生かし、楽しむハーブのある生活」を提案しています。ご自身の教室でも、ハーブの素晴らしさを実際に体験できるよう、レッスン後には必ず生徒さんと一緒にハーブのお茶と料理をいただくそう。そんな若林さんの思い出のハーブ料理は、子どものころに出会った「タラのグリル香草風味」。当時、家族のいきつけだったフランス料理店で、よく登場したのが西洋ハーブを使った「香草風味」のメニューでした。お澄まししたようにお皿に盛られた料理と、そこに添えられていたローズマリーやディルの香りが、遠い外国を思わせるようで、子ども心に「不思議でかっこよく」思えたそうです。
- 右/すっきりとした清涼感を運んでくれる、アイスのハーブティー。ミントの葉は、見た目にも涼しげ
- 「ハーブ」の良いところ
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ご自身の食卓にも、日本をはじめとするアジア、西洋のハーブ&スパイスが欠かせないという若林さん。「伝統的な料理の多くには、必ずと言っていいほどハーブやスパイスが使われています。ハーブは土地の自然と歴史が生み出した生活の知恵であり、家族の健康を願うお母さんの愛情がこもった贈りもの」摘みたてのハーブで作る料理は、季節ごとに必要な栄養を補う食養生の意味もあるそうです。「ハーブはミネラルが豊富。食材の持ち味を引き立てながら、特有の香りと風味が、いつもの料理に新鮮さをプラスしてくれます」「また多くの品種が、あまり肥料や水を必要としないので、育てやすいのも良い点・親しみやすい点です。生きて、成長し、時には枯れてしまったりもしますが、季節の流れを感じとって、語りかけながら世話をしていれば、植物はその時々の喜びと多くの収穫を与えてくれます。育てた人だけのご褒美である『摘みたてフレッシュハーブ』を味わう喜びを知っていただきたいです」
- 左/乾いた茶葉や小瓶入りの精油とは、まったく違う、驚くほど深い香りが味わえるフレッシュハーブ
- 「ハーブ」とのつき合い方
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お嬢さんと一緒に小さな庭で100種類ほどのハーブの世話をしながら、ハーブティーをいただいたり、ハーブを使った夕食の献立を考えたりしている若林さん。家族と試食しながら、毎月作り続けたハーブレシピは、すでに10年分。若林さんにとってハーブとは、どんなものでしょう? 「心を込めたプレゼントの素材に、家族やペットの体調の変化を調整するための薬箱に、また家の中を心地よい空間にするために…。朝目覚めてから夜眠るまで生活のすべてに役立つものです」
ユニークなのがハーブまわりの道具。「木製のレモン絞り」は、洋書などで見てほしくてたまらずイギリスのお友達に送ってもらったもので、最後まできれいに絞れて果汁に苦味が出ないとか。意外なお気に入りアイテムは、イワタニ産業の「トーチバーナー」。庭の隙間に生えた雑草を焼いたり、料理のキャラメリゼに使ったりと活躍中なのだそうです。
また若林さんのハーブスクールでは、毎年5月にオープンガーデンを開催中です。 ハーブのお茶やお菓子、フェアトレード商品の販売も行います。2009年の開催日程など、詳細は直接お問い合わせください。
- fin.
- わが屋の「ハーブ」ことはじめ
- はじめてハーブを育てるなら…「まずはひとつ苗を育ててみてください。小さな鉢でも、庭のちょっとした場所でもいいです。育てやすいのは日本の環境に適したチャイブ、ほかにローズマリーやオレガノなら花もきれいで、いろいろな料理に使えます」。またハーブの種を購入するなら「ラムズイヤーシーズ」がおすすめ。海外の珍しい品種をはじめ、さまざまなハーブを15年以上前から輸入販売しているお店で、若林さんもごひいきです。ほかに近所のホームセンターやガーデニングショップでもハーブ苗が売られていますよ。もっとハーブを知りたい方には、若林さんの愛読書『花を愉しむ事典』J.アディソン著、『心ふるわせて種まきて』宇土巻子著が、おすすめです。