vol.1 荒井桂子さんとパンのおいしい関係
- この方にお話をうかがいました
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料理家・荒井桂子さん
料理教室「kitchen noie」主宰。パン・料理・テーブルコーディネート講師として25年以上活動を続ける。生徒数は延べ5万人以上、受賞歴多数。
»プロフィール »コラム「魔法のキッチン」
みんな大好きな手づくりのパンとお菓子。手づくりだからこそ伝わる優しさ、おいしさ、その魅力と楽しみ方をプロにうかがいました。毎日の食卓に、子どものおやつに、友だちへのプレゼントに……小さな幸せをお裾分け!あなたも手づくり生活、はじめてみませんか?
- 「パン」との出会い
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パン作りを教えて25年あまり。荒井さんのパンとの出会いは、幼少期にまでさかのぼります。兵庫県明石市で育ち、パン好きのお父さまの影響で慣れ親しんだのは、神戸「フロインドリーブ」のドイツパン。ドイツパンといえば、ぎっしりと身の詰まったハードタイプが主流です。ところが当時一般に流通しているパンは、食パンか調理パン、甘い菓子パンばかり。結婚後に地元を離れてからは、納得いく味になかなか出会えず、がっかりすることも多かったとか。昨今のブームも手伝って今では多種多様なパンを身近に楽しめますが、パン作りを始めた当初は、パン屋で生イーストを分けてもらったり、近くの製粉会社から粉を分けてもらったりと、材料を集めるのもひと苦労だったそうです。
- 写真上「干しいちじくとライ麦のパン」/右「フランス料理店のライ麦パン」
- 「パン」の良いところ
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『フードソムリエ』でも人気が高い、手づくりのパンやお菓子。その良さは「自分の目で確かめて納得したもの、安心と思える食材を使って好みの味を練り、自由自在に焼き上げられることが醍醐味」という荒井さん。ご自身でも、仕事を兼ねたパンの試作が日々の楽しみになっています。旅行先で出会った珍しいパンや話題のパン、新しい手法などを試すうちに「より簡単でおいしいパン」が生まれるそうです。「パンが焼き上がる、あの香ばしい匂いは、パン好きにとって何よりのアロマセラピーだと思います。焼き上がったパンをお友だちやご近所にお裾分けしたり、時には皆で一緒に楽しんだり。手づくりの輪が広がって、新しいコミュニケーションが生まれるのも素敵ですよね」
- 左は南フランス地方の「フーガス」。ほか荒井さんのパンレシピは500以上!
- 「パン」とのつき合い方
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パンをおいしく焼く秘訣は、焼きたいパンの種類に合わせた粉選び。そして購入した粉は、風味を逃さぬうちに、なるべく早く使い切る。このふたつがパンの味を左右する決め手です。
酵母菌は、まず初心者も扱いやすく保存も簡単な顆粒状のドライイーストを使い、慣れてきたら徐々に種類を試して、好みのものを見つけるのがおすすめ。
「発酵時間は季節によって異なり、気温が高い夏は、手ごねから焼き上がりまでの時間も短く済むので、初挑戦にピッタリの時期。粉量300g位が捏ねやすく、ロールパンなら11〜12個焼けますよ」
あまったパンは密封して冷凍保存を。自然解凍してオーブントースターなどで軽く焼くと、焼きたてに近いパンのおいしさが楽しめます。
- fin.
- わが屋の「パン」ことはじめ
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いざパン作りの前に揃えておきたい調理機具。パン作りに必要なのは、細かい目盛が付いたはかり・温度計・タイマー・ボウル・麺棒・スケッパー、オーブン。荒井さんが特に気に入っているのは、リンナイの「ガスオーブン コンベックRCK10Ma」。
「家庭用のオーブンですが、火力が強く、均一に焼き上がります。3段入るので、ロールパンなら一度に20個くらい焼けるのが良いですね。生徒さんも、こちらのオーブンに買い換えて、こんなに上手に焼けるなんて!とビックリされる方が多いです。」