vol.2 枝元なほみさんにむかごのお話をうかがいました

「むかご」という食材を、ご存知ですか? むかごは、いわば山芋の赤ちゃん。コロコロと丸く愛らしい実は、栄養満点で、調理も驚くほど簡単!その小さな姿は見落とされがちですが、よーく目をこらしてみると、町中などの身近な場所でも見つけられるんですよ。今回は、料理研究家の枝元さんに、むかごの魅力と、ご自身が主宰する「チームむかご」の活動を通じて“食と農”への思いを語っていただきました。

この方にお話をうかがいました
料理家写真

料理研究家・枝元なほみ(えだもとなほみ)さん

1955年神奈川県横浜市生まれ。明治大学文学部英米文学科卒業。1981年劇団転形劇場の研究生になり、役者を続けながら無国籍レストランで8年働く。劇団解散後、フリーの料理人に。自ら「チームむかご」を主催するなど、料理提案にとどまらず「食」の根本にある農業や漁業といった生産の現場を支える活動にも積極的に取り組んでいる。NHK『きょうの料理』、雑誌『ビッグイシュー日本版』、テレビ東京『ソロモン流』など、メディアへの出演・寄稿・著書多数。
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「むかごとの出会い」〜 具体的な話を提案しないと、向こうからは何も返ってこない 〜

枝元さんが、一番最初にむかごと出会ったのは、いつ頃、どんなことがきっかけだったんですか?
枝元
20代の半ば頃に東京の国立に住んでいて、そこで友だちから「むかご」というものがあることを教わりました。住宅街のフェンスみたいなところに、むかごがついているんですよ。たぶん気をつけていれば、今でも見つけられると思う。
住宅街で?
枝元
うん。もう本当にちょびっとなんですけどね。ポロポロ〜って採って、ご飯に入れて炊いたりしたのが楽しくて。美味しいし。 草を摘んだりとか、そういうのって単純に楽しいじゃないですか(笑)。
はい(笑)。それも身近な場所で。
枝元
私は生まれが横浜なので、自然に親しんでいるとは言いがたかった。 たけのこくらいは採ったけど。だから、自分で採ったものが食べられるのって楽しいなって。買って食べるのとは違うなと思って。それが最初の出会いかな。(つづき…)

「むかごとの良いところ」〜 すっごい小っこいけど、むかごって希望の種だと思ってるの 〜

ここまで、ずいぶん長い道のりでしたけど、良かったこと「やっぱり、むかごっていいな」と思うことはありましたか?
枝元
むかご自体も活動も、やっていくうちに何かが見えてくる。難しいこともひとつずつやっていけば、進むんだなって。それがおもしろかったし「何ができるんだろう」って悶々と思っていたことが、とりあえず動いた(笑)。
はい(笑)。
枝元
あと生産者の人と会うから、すごくいいんだよね。
それまでよりも密に。
枝元
そうだね、現実の問題を一緒にひとつずつ解決していかなきゃならないから。青森の新山さんも、岩手の福田さんもすごくいいのね。ものを作っていく人たちの力強さみたいなものかな。何か、そういうのに励まされるんだよね。(つづき…)

「むかごとの付き合い方」 〜 これからのこと。みんなに、私にできること 〜

では、各家庭に伝えたいことというのは……。
枝元
まずは、全国区で知名度が上がることだと思う。むかごというものがあって、おいしく簡単に食べられる。 で、そのことで、農業に関心を持ってもらう。
枝元
こういうインタビューをしている時も、単純にひとつの作物を「いい、いい」って言ってるわけじゃなくて、 それを通じて農業を考えてほしいと思うし「自分が食べてるものがどこからきてるか」とか、「安全・安心」なんて言われてるけど、それが「どういう安全で、どういう安心か、誰が実際にやってるか」。
買い物本来の姿を考える意味でも……。
枝元
農家の人は一生懸命トレーサビリティをつけてるけど、今の消費者は「安くて、おいしくて、安全で安心じゃないのは、おかしい」みたいな。そんなのあり得るはずないけど。でも、ぜんぶ提供されるものと思ってる部分があるんじゃないかな。だから、それを一緒に見ていってほしいと思う。「できることはなんだろう?」って。だからこその、むかご。(つづき…)

枝元さんのむかごレシピ

  • 料理写真

    定番!「むかごごはん」
    普通に水加減したお米にむかごをのせて炊く。米2カップに、むかご70〜100gが目安。炊きあがったら、塩小さじ1/2ほどを加えて、さっくり混ぜて、でき上がり。
  • 料理写真

    「むかごと鶏肉の中華炒め」
    むかご100gを5分ゆで、鶏もも肉1枚・たまねぎ1/4個・ピーマン2個をひと口大に切る。ごま油大さじ2を熱し、塩・こしょうした鶏肉を色が変わるまで炒め、たまねぎ・むかご・ピーマンの順に炒める。酒・オイスターソース各大さじ2で調味。豆板醤を加えても◎。(4人分)

改めて「むかごって何?」という方へ。一般に「むかご」とは、山芋(ヤマノイモ=じねんじょ)の葉の付け根にできる球芽、いわば山芋の赤ちゃんを指します。滋養強壮や消化促進などの効果が知られる山芋のむかごは栄養満点。ボウルに入れて水ですすげば、皮つきのまま調理して食べられます。ねっちりとした食感が美味! 乾いたまま袋に入れて冷蔵庫にしまっておけば、2〜3週間は保存が可能です。最近はスーパーでも販売されているので、ぜひチェックしてみて。「チームむかご」でも、お裾分け販売(不定期)を行っているほか、「杉原商店」さんのオンラインショップも野菜・果物の<具>コーナーで、むかごを販売中です!

※この記事は、2008年12月の取材に基づいて構成したものです。

バックナンバー
vol.1  上野万梨子さんの、ギャラリーにお邪魔しました
vol.2  枝元なほみさんに、むかごのお話をうかがいました
vol.3  永島敏行さん主催の、青空市場にうかがいました
vol.4  農家のこせがれネットワーク主催の「丸の内朝大学」農業クラスにうかがいました

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