ヒトミワイナリーさん(生産者)のTartar Wine 2010 No.2でつくった、尾関さんの「魚介と季節野菜のワイン蒸し クリームソース」
教えてください
- 尾関 由美さん(大阪府大阪市)
- 自宅で料理教室ラ・ターブル・アン・プリュス開講。フランス家庭料理 男の食彩など、フランス料理に係わらず、イタリア料理 創作家庭料理 エスニック お菓子など多岐に渡り、お料理の楽しさを伝える教室を主宰する傍ら、ル・コルドン・ブルーで料理通訳、カフェ学校の講師などを経験し茶事料理、企業へのレシピ提案、出張料理教室など幅広く活躍中。
お教えします!
- 岩谷澄人さん(滋賀県東近江市)
- 滋賀県で「にごりワイン」を醸造している岩谷澄人と申します。22年前ワイナリー本体のアパレル会社からワイナリーへ出向し、ワイン醸造人になりました。現在は、ワインの旨味のもとである食物繊維や酵母をそのまま瓶底に残す「にごりワイン」の専門メーカーとして精進の毎日を過ごしております。自家農園産では草生栽培し、農薬も極限まで減らした状態で葡萄を育てています。葡萄作りの中から、葡萄の個性を引き出す方法論を自然なカタチで出せないかと、日々研究しています。
- ヒトミワイナリーについて詳しく見る
- From:料理家
- 尾関 由美
- To:生産者
- ヒトミワイナリー 岩谷澄人さま
こんにちは。いつもお世話になっています。
今日はヒトミワイナリーさんのワインについてもっと詳しく知りたくなってお便りしました。昨秋にはワイン醸造の体験をし、たくさんの種類のワインを試飲させていただきました。また、実際にその土地に行かせていただき、大地の恵みを感じたように思います。
日本のワインはちょっと・・・という感覚を持っていましたが、その概念が覆されたように美味しいものに出会えました。海外のワインでは産地によってある程度品種が分かれますが、ヒトミさんのところのワインは多品種を扱っていらっしゃいますね。
どのような品種を扱っているのか、また、栽培のご苦労なども教えていただければと思っています。そしてぜひお料理にあわせる1本をご紹介ください。
よろしくお願いします。
- From:生産者
- ヒトミワイナリー 岩谷澄人
- To:料理家
- 尾関 由美さま
こんにちは!御連絡ありがとうございます。
当社農園では約10種程の品種を栽培しております。海外ではその土地それぞれの個性が生きる品種が時を経て定着栽培されていると思いますが、日本ではまだワイン専用種の栽培はここ20数年程の新しい試みとして行っているに過ぎません。その中で各ワイナリーの醸造家が、その著名なワイン産地からインスパイアされ個々の表現を発現させようと努力している段階かと思います。当社でも特にシャルドネとメルローはその指針のコアな品種としてとらえ、色々と試みを行っています。
ここ滋賀県は降水量がそれほど多くもなく少なくもない場所なのですが、夏期の高温が続くため、ワイン作りには欠かせない酸度のバランスを考えた栽培法が必要となります。しかしながら、酸度に捕われすぎると未熟な葡萄の収穫になりかねません。そこで当社では、まず葡萄の葉を極力減らし、余計な光合成を阻害しながら太陽を沢山浴びさせ、生存力を高めた状態で、種の保存の力を実に与えます。通常より樹にストレスを与えることで、適度な酸を保有しながら実の熟度が進み、陽を浴びた果皮からの厚みを果汁に移行してくれていると思います。そうする事で、充実したミネラル感を感じる実が収穫できるようになります。
また、農園ではほとんど農薬を使わず、通常10回以上使用奨励されている葡萄管理も年4回以下に減らしています。その為、葡萄を日々観察し、病害虫から守っています。より強く健全な葡萄を収穫し、スキンコンタクトを14時間以上かけて果皮からの力強い旨味をそのまま果汁に移行させ、オークにて自然発酵熟成をさせています。葡萄の力強さを活かすため、1年近くオークにて熟成させ、その上澄みを未加熱無調整で1本1本瓶詰めしています。これが「TartarWine」です。
今回ご紹介する「TartarWine 2010 NO.2」は、樹齢17年目の充実したシャルドネ特有のハチミツ香を伴うミディアムボディのワインになっています。濾過をせず、補酸せず、無補糖醸造、自然発酵と自社農園の力をそのままオークにて相乗効果をもたらしたワインになりました。
ぜひこのワインに合うお料理作りをしてみてくださいね。
- From:料理家
- 尾関 由美
- To:生産者
- ヒトミワイナリー 岩谷澄人さま
お便りありがとうございます。また、ワインを選んでくださってありがとうございました。まだまだ歴史の浅い日本のワイン醸造ですが、日本の土地にあった日本らしいものを作ろうという想いがとても伝わってきます。
見学させていただいたときにも感じましたが、ブドウワインへの愛情がたっぷりですね。
さて、早速お味見をさせていただきました。ブドウの美味しさが詰まった甘さを感じる中にも活き活きとしていて上品な印象を受けました。お料理に使うなんてもったいないほどですが、このワインを使ってお料理をし、そして同じワインで味わうという贅沢さもいいのでは?!と思い、レシピを考えてみました。お家でも簡単にできるように魚介のワイン蒸し。それに下茹でしたお野菜と一緒に生クリームをあわせます。お野菜のもつ土地の恵み、そしてワインから引き出せる魚介類のエキスを軽くクリームで閉じ込めることでワインの酸味とこのワインのもつ柔らかい甘みがマッチするのではないかと思います。実際にワインと共に試食をすると、ワインの美味しさが素材の旨みを引き出し、とてもマッチしていました。
良いワインに出会えてとても嬉しく思っています。どうぞこれからもよろしくお願いします。
- ヒトミワイナリー
- http://www.nigoriwine.jp/
- ※この記事は、2012年04月の取材に基づいて構成したものです。
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