加用物産さんの青さのりで作った大野さんの「米粉と青さのりのショートパスタ」
教えてください
- 大野ゆかりさん(東京都港区)
- 南青山にて「CARPE DIEM カルペディエム」料理教室主宰。 ル・コルドンブルーにて フランス料理・パンを学び今田美奈子お菓子教室にて師範資格取得。 1996年より 南青山にてイタリアン・フレンチのおもてなし料理教室「CARPE DIEM」を開く。 レストランでいただくようなお料理をおうちでも楽しく簡単に作れるようなレシピ作りを心がけてます。一日一日、その時を楽しく過ごしてたもらいたい!をコンセプトにお料理だけでなく人との出会いや、その時を大切に、楽しい時間を過ごしていただけたらと思っています。フードコーデイネーターとして、レストラン・カフェメニューの開発や企業様のレシピ開発・イベント講師などにも携わる。
お教えします!
- 加用 哲啓さん(高知県四万十市)
- 大手前タイピスト学院を卒業後、創業明治40年の加用物産に入社。 営業などを経験しながら取締役に就任。その後飲食店なども経営する。 平成13年より 代表取締役に就任。 四万十川の貴重な恵みをいただき、製品づくりをしております。 四万十川を大切に思い日々おいしく、健康にもよい商品作りを目指しています。
- 有限会社 加用物産について詳しく見る
- From:料理家
- 大野ゆかり
- To:生産者
- 有限会社 加用物産 加用 哲啓さま
こんにちは。日に日に寒くなり、毎朝お布団から出るのがつらくなってまいりましたね。
川でのお仕事、寒さが厳しくなると本当におつらいのではないでしょうか。どうぞお風邪などひきませんようにお大切にお過ごしくださいませ。
私が加用物産様の青さのりを知ったのは以前レッスンにて「あなごと青のりのパスタ」を作った時のことでした。その時に、あなごの味に負けない香り豊かなおいしい青のりはないかと探していたところ、
加用物産様の青のりを発見いたしました。鮮やかな緑色をし、濃厚な磯の香りがし、あなごにも負けない青のりを見つけることができ、とても嬉しかったのを覚えております。それ以来、加用物産様の青のりを愛用しております。今度は 青海苔の隣に 鮮やかな黄緑色をした青さのりを発見。この青さのりを使って、パスタを作りたいと試作した所とても美味しくできました。色鮮やかで、柔らかく、香り豊かな青さのり。いったいどのようにして作られているのでしょうか?今まで作っている過程を見たことがなく、想像することができません。ぜひ作られる過程やご苦労などがありましたら教えてください。そして四万十川で作られる青さのりならではのこだわりなどがありましたら、ぜひお聞かせくださいませ。
お返事をいただけるのを楽しみにしております。
- From:生産者
- 有限会社 加用物産 加用 哲啓
- To:料理家
- 大野ゆかりさま
明治40年創業以来、ずっと四万十川流域でとれる「青さのり」にこだわって作ってきました。
工場誘致の立地条件に恵まれない高知県では、地場産業の重要性を再認識し、四万十川名産の青さのりの生産に尽力してきました。物産商の長男に生まれた二代目、加用藤太郎が青さのりの養殖を手掛け、約十年もの間失敗を重ねながらも美味しい青さのり作りを追及し続け、昭和37年に三代目の守が養殖に成功いたしました。この青さのりは農林大臣賞を受ける事もできました。
青さのりは海水と川の水が混じり合う汽水域だけで育ちます。透明度が高く、太陽の光が届く川底でなければなりません。網につけた胞子を一度海の近く(塩分濃度が強い場所)に持っていき、発芽させます。発芽させると養殖所に網を張り替えます。自然の水の養分と太陽の恵みを受け、色鮮やかな香りのよい青さのりが育ちます。その後、のりの表面を傷つけないよう、丹念に収穫します。この丁寧な作業を行うことで、冷凍で長期保存しても変化が少ないといわれています。
採取時期は厳冬の2月~4月頃をピークに行い、その後天日干しします。同時に目視選別でゴミなどの異物を取り除きます。丁寧に手作業でゴミを取り除く作業は、昔と変わらず人の手で行い、手間を欠かすことなく、今でも自然に近い状態での提供を心がけています。四万十川の清流だからこそおいしい青さのりが育ちます。その貴重な恵みを大切に、のりの佃煮などの瓶製品にも化学的な添加物はなるべく使用しないで製造するように心がけています。
近年の自然破壊が進む中、大自然と昔ながらの伝統漁法の残る川で採れたものをそのまま召し上がっていただけることが一番のごちそうだと考え、美味しい商品作りを目指しております。
- From:料理家
- 大野ゆかり
- To:生産者
- 有限会社 加用物産 加用 哲啓さま
ご丁寧なお返事ありがとうこざいます。初めて青さのりが出来るまでの工程を知り、勉強になりました。青さのりは汽水域で育つのですね。また、おいしい水とキラキラ光る太陽の恵みを受け、そして、さらに手間暇かけ、大変な作業を行っているからこそ、あのおいしい青さのりができるのですね。
厳しい寒さの中、手作業でのご苦労を想像すると「寒い朝、お布団から出られない」などと甘えたことを言っている私が恥ずかしくなりました。
今回、豊かな磯の香りと甘みのある青さのりを使い、米粉のショートパスタを作りました。
のりとごはんは究極の組み合わせですので、やはりパスタの生地にもモチモチした食感になる米粉を使おうとレシピを考えました。米粉で作った生地の中に、水でもどさずに細かく砕いた青さのりを加えていくと、その場でのりの良い香りが一気に広がり食欲がそそられます。釜揚げされた甘味たっぷりの桜エビを加えたトマトソースをかけていただきます。モチモチとした触感と青さのりの香がするパスタに甘味たっぷりのトマトソースが絡まり、とってもおいしいパスタに仕上げる事ができました。その他にも、もち粉で作ったパンに青さのりを練りこんだ青さのりパンや、白身魚のフリッターの衣にまぜたり、お魚のクリームソースに・・・と、次から次へとレシピが浮かび、これから青さのりを使ったメニューが増えそうです。
人の手間を惜しまず、丁寧に育てられた青さのり。私も手間を惜しまず、おいしいものを作っていこうと思いました。お忙しい中ご丁寧に色々教えていただき本当にありがとうごさいました。作っている方のご苦労をかみしめながら味わいたいと思います。
そしてこれからもどうぞおいしく体に良い青さのりを作り続けてください。まだまだ寒い日が続きますが、どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
- 有限会社 加用物産
- http://www.aonori.com/
- ※この記事は、2011年12月の取材に基づいて構成したものです。
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