2010年12月、沖縄で地域活性化プロジェクト「やんばる畑人プロジェクト」を立ち上げ、農から始まる地域活性化に奮闘中の芳野幸雄の「やんばるスパイス」で、渡辺玲さんが「やんばるスパイスカレー」を作りました。
教えてください
- 渡辺玲さん(東京都)
- 東京生まれ。料理研究家、調理人、著述業、オーガニック系食品開発業ほか。著作に『旬のかんたんスパイスカレー』(アスペクト刊)、『カレー大全 カレー伝道師の160話』(講談社刊)、『カレーな薬膳』(晶文社刊)など。テレビ・ラジオ・雑誌等への出演執筆監修・店舗プロデュース・講演・カレー以外も含めた食品の商品開発等、多角的に活躍中。インドへの渡航歴は20回以上。日本香辛料研究会会員
お教えします!
- 芳野幸雄さん(沖縄県名護市)
- 東京での15年間の農産物の流通業を経験し、2003年就農の為沖縄へ移住。2009年2月新規就農者だけの出荷グループ「沖縄畑人くらぶ」発足。2010年12月農家、飲食店、加工企業、行政、観光協会そして各分野のクリエーターを集結させて、地域活性化プロジェクト「やんばる畑人プロジェクト」を立ち上げ、農から始まる地域活性化に奮闘中。
- について詳しく見る
- From:料理家
- 渡辺玲
- To:生産者
- 芳野幸雄さま
こんにちは、芳野さん。
毎日の畑仕事、ご苦労様です。
沖縄でインドカレーに使うのと同じスパイスができると知った時の驚きは今も忘れられません。そうしたスパイス類の魅力を最大限に引き出すべく、皆で沖縄北部やんばるの地に集まり、努力を重ねた結果、とうとう国産自給率58パーセントの「やんばるスパイス」ができましたね。私も配合設計をさせていただき大変貴重な体験となりました。どうも、ありがとうございます。
さて、芳野さんたちの生産グループがお作りになっている2種類のうこん、島唐辛子、しょうがなど、やんばるならではのスパイス類の魅力や栽培のご苦労、生産者さんとして生活者の皆さんに一番知っていただきたいことを今一度、私にも教えていただけませんか?
- From:生産者
- 芳野幸雄
- To:料理家
- 渡辺玲さま
今ではわが子のような「やんばるスパイス」です(笑)少しだけのこの子が生まれた経緯をお話ししますね。
沖縄での農業を志して8年目の2009年、新規就農者だけの出荷グループ「沖縄畑人くらぶ」を8名で立ち上げました。小さい畑ながらも「うれしい 楽しい 美味しい」野菜作りを目標に、市場出荷ではなく、契約栽培というかたちをとり、少しづづですが信頼をいただきながら進んできました。
メンバーも15名に広がった2年目の 2010年夏、やんばる(本島北部)で胡椒が栽培できることが解りました。その時はあんまりピンとこなかったのですが、いろいろ調べてみるとスパイスとしてではありませんが、沖縄では昔からターメリック(秋うこん)や島とうがらしなどが普通に栽培されていました。この時に、「もしこのやんばるで色々なスパイスを栽培できたら、外国産スパイスがほとんどの日本ではニーズがあるんじゃないか?」と考えたのです。ここからは思ったら即行動!渡辺さんのアドバイスをいただきながら、地域の飲食店さんなども巻き込んで、2011年4月に「やんばるスパイス」が誕生しました。
「やんばるスパイス」は出荷直前に、水冷石臼式製法で発熱を抑えてゆっくり粉末化してお届けしております。自然豊かなやんばるの地で育った、スパイス達の香りをそのままに料理に生かしていただけると思います。更に現在は、スパイスに使用している9種類の内、「秋うこん」「黄金うこん」「島とうがらし」「新しょうが」がやんばる産で全体量の58%にとどまっています。私どもはこれを100%にすべくプロジェクトを立ち上げ、5年後には現在42%を占める「クミン・シード」「コリアンダー」「カルダモン」「シナモン」「クローブ」をやんばる産にするという大きな目標に向けて動き始めています。
とはいえ現状としては県の普及センターや研究センターにも情報がなく、種探しからスタート。また運よく種が見つかっても栽培指針もないことから、全くゼロからの挑戦となります。夢に向けてコツコツと試験をしながら取り組みたいと思っています。
まだまだ始まったばかりの取り組みで、手さぐり状態での栽培のため問題は山積みですが、これからも進化し続ける「やんばるスパイス」をどうぞ可愛がってあげてください(笑)
- From:料理家
- 渡辺玲
- To:生産者
- 芳野幸雄さま
芳野さんありがとうございます。
送っていただいた「やんばるスパイス」や、やんばる育ちの野菜を使って、野菜たっぷりのカレーを作ってみました。
もちろんカレールーやカレー粉は無添加。スパイスは「やんばるスパイス」しか使いません。
本場のインド料理と同じく、スープストックやダシも入れず、沖縄野菜の持つ新鮮な風味と「やんばるスパイス」の深い香りを生かしたオリジナルのカレーに仕上げました。「やんばるスパイス」はインドの香辛料に比べハーブ的というべきか、よりフレッシュで生き生きとした香りがします。一般的な料理に使われる「しょうが」や、インドのターメリックと近似種ながら異なる風味の「うこん」の香りが効いています。その結果、キレがよく、応用範囲も広くなったと思います。
今回は甘みの強いココナッツミルクを隠し味に加え、2種類のうこんやしょうが、島とうがらしの清涼な香りをより前面に引き出しましたが、「やんばるスパイス」は、基本的にカレー粉やガラム・マサラと同じ使い方ができます。
またカレーやエスニック料理以外でも、醤油や味噌などの一般的な調味料とも相性がよいため、煮物や炒め物、揚げ物など、和洋中における幅広い調理対応が可能です。カレー系煮込み料理の他、簡単なのは、チャーハンや焼きそばの調味、肉やシーフードの下味やシーズニング、サラダドレッシングへの活用など、幅広い範囲で楽しめますね。これからの更なる「やんばるスパイス」の進化に期待しています。みなさんも是非応援してくださいね。
- ※この記事は、2011年07月の取材に基づいて構成したものです。
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