【平日の夕食編1】 肉じゃがの盛り付け
家庭料理の定番のひとつ「肉じゃが」、おいしい味付けで完成しても、器に盛ったらなんだか地味な印象に…
せっかく美味しく出来たのにこれではなんだか残念。
今回は料理家の朝長 章代さんに盛り付けのキホンとコツを教えていただきました!
写真の肉じゃが、少しペタンとしていて、ちょっとさみしい印象ですね。料理が平面的に盛り付けられているので、ボリューム感などが上手く出すことができていないようです。
また具材も偏りがちでバラバラ、無造作にお鍋からそのまま料理を移しました…といった感じがします。
次に料理の色をよく見てみると、全体的に茶系。そう、お醤油の色になります。煮物なので味をよく含んでいておいしそうなのですが、見た目の点では少し華やかさが欠けてしまっていますね。
これも盛り付けが決まってないように見える原因になっているようです。
自慢のレシピで作った肉じゃがを更においしく見せるポイント、今回は「高さと色」に注目していきます。
● 高さ
肉じゃがなどの煮物料理をおしゃれに見せたい場合、料理の高さを出すように盛り付けてあげましょう。それだけでもグーンとおいしそうに見えますよ。
盛り付けるときは大きめのスプーンと菜箸を使って数回に分けて盛り付けていくのがコツです。1つの場所に人参がたくさん…なんてことになってしまわないようにバランスを見ながら少しずつ盛り付けていきましょう。
また高さを出す時の大切なポイントは、大きい具材を先に盛り付けていく事です。
肉じゃがの中で一番大きな具材と言えば、
"じゃがいも"ですね。
この大きなじゃがいもを土台のようにして盛り付けて崩れにくくし、合間を埋めるように他の具材をのせていくと、色や具材のバランスが取りやすく、料理の高さも出しやすくなります。
● 色
きれいに盛り付けが出来たら、次に「色」です。
料理に高さが出た分、ボリューム感が出ておいしそうになりましたが、全体的に茶色でちょっと物足りない印象です。仕上げの段階でちょっと物足りない時には、"あしらい"を加えることを考えてみましょう。
あしらいとは、料理の味を引き立て、香りや彩を補うために添える付け合せのこと。
この場合は緑色の野菜を添えるのがよいと思います。
肉じゃがの場合はにんじんの赤(実際にはオレンジになりますが)と緑が補色関係となりお互いをキレイに見せ合い、よりおいしさを演出してくれるからです。
あしらいの例としては、塩ゆでした絹さや、いんげん豆などがよく使われますが、時にはえんどう豆を使ったり、オクラや青菜などを使って季節感を表現して、家庭料理のいい味わいを出していくのもおすすめですよ。
盛り付けの器のこと
今回、使用したのは和食器で色はクリーム色に近いもの、そして少し深さのある鉢タイプを選びました。
肉じゃがは汁気がある煮物になるので、平皿に盛るよりも鉢のように少し深さがある器のほうが汁がこぼれずにきれいに盛り付けができますね。また、鉢のような器は使うのに難しい印象がありますが、器の立ち上がりが料理をしっかり支えてくれるので高さを出す盛り付けがきれいに決まります。テーブルセッティングの場合でも食卓に鉢のような高さがでる器があると食卓がより華やかに見えますよ。
そして器の色ですが、今回は少し黄色よりの優しい色にしました。和食器ですので少し渋さも感じますが、中の料理をおいしそうに、そしてあたたかみのある雰囲気に見せてくれる色の1つだと思います。
この他にも料理をおいしく見せてくれる器の色はさまざまありますが、器の色や質感を変えることで同じ料理でもまた違った雰囲気を出すことができます。
また今回は"肉じゃが"ということもあって和食器を選びましたが、もちろん洋食器にも盛り付けができます。クリーム系やベージュ系など、少し控えめな色のトーンの器は醤油色の煮物と特に相性がいいように思います。形も大きいカフェオレボウルやココット、立ち上がりのあるグラタン皿などもおしゃれに盛り付けできますよ。
相性は試してみないと分からないものです。お家のお皿でいろいろチャレンジしてみましょう!
盛り付けの道具
私がいつも盛り付けの時に使っている道具。サービングスプーンなどの大き目のスプーンを愛用しています。汁気を切って盛り付けたいときはサービング用のフォークも使います。
ある程度の量の具をひとすくいにできるのと、お玉とは違ってスプーンの角度がゆるやかなので具を崩さずにすくえるのがお気に入りです。ステンレスやアルミ製だったり、木製だったりといろいろありますが、そのまま取り分け用のスプーンとしても使えるのでついつい揃えてしまうアイテムです。
- 朝長 章代
- フードスタイリスト。インテリアショップにてイベント企画・運営や店内のスタイリングに携わるなかで食の世界に興味を持ち、フードコーディネータスクールに通う。その傍ら、様々な料理教室・お菓子教室に通いカフェ勤務などを経て独立。現在、Webや雑誌・カタログなどでの料理・お菓子のレシピ提供&スタイリングを中心に活動中。