キッチンを育てよう!ステンレス編
皆さんも見たことがありませんか?プロの料理家や田舎のおばあちゃんが、まるで自分の身体の一部のようにキッチンを使いこなしていることを。中には詳細に計画して作られた高級なオーダーキッチンもあるでしょう。でも最新式でもない普通の既製品だって、それをアレンジし工夫を重ねていくことで自分にとって最も使いやすいキッチンになるものです。毎日使うものだからこそ、自分仕様のキッチンがあれば毎日がもっと楽しくなりそうです。それが、私たちが提案する「育てるキッチン」なのです!
今回はキッチンで最も酷使する天板=カウンタートップについて書きます。天板の素材として上げられるものは、ステンレス、人造大理石、木、タイルなどが上げられ、お菓子づくりを本格的にされる方には大理石も憧れの素材です。最も多いのがステンレス。耐久性があり水や熱にも強いので安心です。私たちがデザイン製作する場合も多く使用しますが、打ち合わせで最初にお話するのが「ステンレスは育てる材料だ」ということ。こう書くとびっくりされるかもしれません。ステンレスって変わらないからいいんじゃないの?
代表選手ステンレスのこと
ステンレスの仕上方法は、エンボス(ぶつぶつと模様を入れた)、一方向に細かい線が入ったヘアライン、円を書く様に研磨するバイブレーション、ピカピカの鏡面加工などが代表的です。エンボスはシステムキッチンメーカーに多く採用されており薄い材料でも加工可能、一見傷も汚れも目立ちにくいものですが、均一な凹凸がある分大きな傷がつけば目立ち修正は困難です。ヘアラインは私たちが最もよく使う仕上げです。使ってみると皿やカトラリーなどで傷がどんどん付いていきます。最初のうちは目立ってがっかりしますが、一、二年たつと傷は均一になって目立たなくなります。その表情は新品にはない落ち着きがあり、決して古ぼけていません。私たちの仕事場にあるステンレステーブルは10年ほど使っていますが、マットに光るシルバー色はシックで白い皿にもぴったり、和洋中、料理を選ばず万能です。且つ汚れが染み込まずしっかり拭けて手入れが簡単。そんな素材、他にはなかなかないでしょう。
やっぱりあこがれ自然素材のシンプルキッチン
木製は、海外ではよく採用されますが、日本では勇気のいる選択です。常時湿った状態になると、小口から水が染みて色が変色していきます。キッチンはいつまでも新品のようでいてほしいと考える日本人には、変色していくキッチンは好まれないのでしょう。それでもIKEAなどで売っているパーツを組み合わせ扉なしで作れば最も安くて愛嬌のあるキッチンができます。人造大理石は良く見える場所にあるような白いキッチンによく採用されます。使う内にだんだん黄ばんでいきますが、表面を薄く削れば元の色が出てきます。とはいえプロにサンダー掛けをお願いする作業はなかなか大変ですから、よっぽど高級なもの以外現実的にはそっくり変えてしまう場合が多いでしょう。
ステンレスカウンターのお手入れ方法
ステンレスキッチンは、基本的に拭くだけでOK。乾いた布で水気を拭き取り、力を入れてごしごし磨き上げれば艶が復活。努力の効果がすぐに見えるのでストレス発散には最適です!ヘアラインの場合、磨く時はラインと同方向で動かすことがポイント。たまに皿を洗ったついでに中性洗剤で一緒に洗ってしまいましょう。洗剤が残ると料理の時に気になりますから、きちんと流すか水拭きをしっかりしてくださいね。塩素系には弱いので、漂白剤や塩分が強い梅干し、錆びた釘などを放置するとさすがに錆びやすくなります。それだけは要注意。