第69回 フィレンツェの老舗トラットリア・ソスタンツァfrom Italy
どの都市にも地元の人に愛されている名店がありますが、ここイタリアはフィレンツェにある創業1869年の老舗「トラットリア・ソスタンツァ・トロイア」もそのひとつ。イタリア語で大衆食堂を意味するトラットリアですが、1900年初頭、フィレンツェで開催されていたカーレースの負傷者の見舞客で店は大繁盛。こうして初代パスカーレ・カンポーニ、その孫グイードの愛称「トロイア」が加わって店名となり、現在に至ります。壁一杯に掛かっている、この店を訪れた有名人の手紙や写真、サインなどが、何より雄弁にこの店の歴史を物語っています。
名物料理「鶏の胸肉のバター焼き」Petti di Pollo al burro
これが出てくるだけで焦がしバターの濃厚な香りが周囲一面に漂い、食欲を刺激します。外はこんがり、中はふっくらとやわらかい。
ふたつの場合はこんな感じで熱々のまま、サーブされます。
お店の人のよく馴染んだ色合いの墨色のコットンジャケット、ボーダーネクタイのユニフォーム、きびきびとした気持ちの良い対応に老舗の誇りが感じられます。
骨を取り除いた鶏の胸肉に衣をつけ、バターで揚げ焼きのように仕上げた逸品。
テーブルの中央にあるのが、もうひとつのこちらの名物料理アーティーチョークのオムレツ。Tortina di Carciofi。赤ワインもコップで飲むスタイルは、まさに大衆食堂の名の通りです。
こちらのオムレツは丸い形のままのオープンタイプ、中心にアーティーチョークを入れたもの。料理長のマリオさんが次々とオムレツを仕上げていきます。
ふんわり、とろとろの半熟のオムレツに、アーティーチョーク独特のちょっと青臭い香りと食感が癖になります。
キッチンは今でも炭火を使用していて、ビステッカ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風Tボーン・ステーキ)もおススメです。
メレンゲ好きのかたには、ぜひ、試していただきたいドルチェがセミフレッドのメレンゲ・ケーキ。生クリームを半分フローズン(イタリア語のセミ・フレッド)にしたものに、チョコレートチップが散りばめられた、メレンゲのサクサク感がおいしいケーキです。甘くても、意外なメレンゲの軽さとラズベリーの爽やかさがおいしいのです。
約40席のお店は常に予約なしでは入れないほどの人気を誇ります。地元の人も観光の人も、見知らぬ人同士がテーブルで隣り合わせに座り、トスカーナ伝統の家庭料理を味わうためにやってきます。
白いタイルの壁、清潔に掃除された店内、トイレに行くのにキッチンを通る店の構造も含めて、古き良き時代の香りがここには今も生き続けています。誰もが愛する、真の意味での街の大衆食堂です。
STORE INFORMATION
Sostanza Troia
住所 :via del Porcellana 25R,Firenze
電話番号:055 212691
定休日 :Sabato(土) Domenica(日)
お店のHPなし