プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第41回 どこか和テイストのモダン・ブリティッシュ

前回に続いて、ソーホーのレストラン、アーバタスのメニューから。
日本人には馴染み深い、どこか和テイスト、
懐かしい洋食の味にも通じるモダン・ブリティッシュです。

彩りも華やかなスターターはドーセット・クラブにグリンピースのムース添え。
イギリスに来てはじめて好きになった野菜のひとつがグリンピース。
肉のローストやフィッシュ&チップスにお決まりのサイドメニューです。
日本にいる時は正直あまり好きではなかったグリンピースですが、
イギリスで食べるフレッシュなゆでたてのグリーンピースはほのかに甘く、
このムースにはグリーンの新鮮さが生きています。
ド―セット・クラブの持つ蟹特有のやさしい味わいと
グリンピースの仄かな甘さ、マンゴーの爽やかさと
ピーナッツのカリカリした食感がアクセントとなって、
初夏の訪れをを感じさせる一皿です。
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メインはスロークックド・ラビット、マスタード・ソース。
ウサギはイギリスではチキンと同様にポピュラーな食材。
脂っこい食事に疲れているときにはメインにウサギを選ぶと間違いがありません。
奥に見えるストウブの器で調理されたパラパラに炊き上がった
バターピラフと一緒にいただきます。
柔らかく調理された兎はさっぱりした肉質と、
ピラフをあえながらいただくマスタード・ソースが懐かしい味。
英国料理が苦手な方にもきっと楽しんでいただけると思います。
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ロンドンではミシュランの三つ星を持つスターシェフ、
ヘストン・ブルメンタール氏の分子科学料理法を取り入れた
斬新なブリティッシュが一大旋風を巻き起こしましたが、
オーナーシェフ、アンソニー・デメートル氏が目指すのは
フレンチとブリティッシュをベースにした奇をてらわない料理。
毎日通える店がコンセプトというだけあり、
メニューはその日にプリントされる日替わりとなっているそうです。
移り変わりの激しいソーホーで、2007年からミシュランのひとつ星を
取りつづけているアーバタスの人気の理由は、どこかホッとする、
こんなオーソドックスな美味しさにあるのかもしれません。
最後に行き着くのは自分が寛げる味わいなのは万国共通なようです。

STORE INFORMATION

ARBUTUS
63-64 Frith Street London W1D 3JW
+44-(0)20-7734-4545
http://www.arbutusrestaurant.co.uk/

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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