プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第40回 ロンドンで一番おいしいチーズケーキ 

ロンドンに行くと必ず食べると決めているものにクオリティの高い乳製品があります。
実はイギリスは国土の約半分が平坦な丘陵地を利用した牧草地帯。
当然ながらカントリーサイドには牧場も数多く存在し、
日本ではそんなイメージは余りないと思うのですが、
イギリスは立派な酪農王国と言っても過言ではありません。

お隣の国フランスに負けず劣らず、バターやヨーグルトもおいしいイギリスですが、
中でもイギリスで最も有名な乳製品といえばチーズでしょう。
世界三大ブルーチーズのひとつであるスティルトン・チーズや、
イングランド南西部サマーセット州にあるチェダー村からこの名が付いた
伝統的製法で作られるモンゴメリー・チェダーなどが有名です。
こうした乳製品の高い品質を反映してか、
チーズケーキはイギリスで常に高い人気を誇っています。

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「ヴァニラ・クリームチーズケーキ ローズウォーター風味のパイナップル添え」

今回のロンドンで発見した本当においしいチーズケーキは、
以前にもご紹介したミシュランひとつ星のレストラン アーバタスのもの。
酪農王国イギリスの名に恥じない濃厚でクリーミー、
絶妙に滑らかな食感を持つチーズケーキ。
ベース部分のビスケットは香ばしさとカリッとした食感を、
ローズウォーターでマリネされたパイナップルが
エキゾティックな香りと華やかさを添えています。

イタリアのマスカルポーネに良く似た風味を持つこのクリームチーズは
オーナーシェフのアンソニー・デメートル氏出身のイギリス南西部原産のもので、
伝統的製法で作られているアルティザンチーズ。
このクリームチーズの持つ牛乳本来のシンプルな風味を生かすために
80℃の低温で調理していることが、この滑らかな口当たりと
豊かな風味を生み出している秘密だそうです。
イギリスでもここだけで食べられるシェフ自慢のチーズケーキです。

2007年からミシュラン一つ星を持つ、ソーホーの中心にある「アーバタス」。
シェフ、アンソニー・デメートル氏の「毎日通える店」のコンセプト通り、
リーズナブルで、何を食べても外れのないモダン・ブリティッシュ。
いつ訪れても活気のあるサービスが心地よいお店です。

次回は随所にどこか和テイストを感じさせる
アーバタスのスターターとメインをご紹介します。

STORE INFORMATION

ARBUTUS
63-64 Frith Street London W1D 3JW
+44-(0)20-7734-4545
http://www.arbutusrestaurant.co.uk/

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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