第36回 パリの日曜日 ラスパイユのマルシェ
このところ、イギリス、スコットランド、アイルランドが続いていましたが、久しぶりにパリにやってきました。ナポレオンが作ったオスマン様式の建築が立ち並ぶパリの街並みはイギリスと比べて、どこか華やかさがあります。
久々のパリに来てつくづく実感したのが日曜日はどのお店もお休みだということ。
デパートはもちろん、生活に欠かせないと思われるスーパーマーケットまでが
法律によって日曜営業は原則的に禁止されているのです。
そんなパリの日曜日の過ごし方として定番なのがマルシェ(朝市)です。
中でもビオロジック(オーガニック)のマルシェとして人気があるのが
パリ6区のサンジェルマンで開かれるラスパイユのマルシェ。
パリ市内の70ヶ所以上で開催されているマルシェの中でも
ここが特に人気の理由はビオのマルシェがここラスパイユと
バティニュールの二か所だけということもありそうです。
メトロ12号線のセーブル・バビロン駅からレンヌ駅の間、
ブールヴァ―ド・ラスパイユに沿って開かれる、こじんまりとしたマルシェですが、
一歩中に入ってみると、美味しいものを求める人々の熱気と混雑に驚きます。
いっぱいの食材を詰めたカートを引く人々の姿と、このサインボードが目印。
現在は主にフランスのオーガニックの認証制度である「AB」ラベルの製品を扱っていますが、その歴史は989年からとも言われ、最も古いビオ・マルシェなのです。
無農薬・有機栽培を謳った野菜、果物、鮮魚、精肉、チーズやバターなどの乳製品、ドライフルーツ、オリーブオイル、塩、蜂蜜、パン、ケーキ、石鹸、化粧品と日常生活に必要なもの全てがここで揃えてしまえるほどの充実ぶり。
マルシェならではの醍醐味、お肉屋さんの肉を捌く手際の良さに見とれてみたり。
もちろん「AB」マークの鶏を扱うチキン専門店。パリッと焦げ目のついた皮と香ばしい香りには多くの人が抗えないようで、次々と焼き上がったローストチキンが売れていきます。リラックスした日曜日の食卓をこのローストチキンをメインに家族で囲むのかもしれません。
もちろんこの季節には欠かせない、アーモンドクリームをいれた縁起物のパイ、ガレット・ド・ロアも販売されていました。
ビオならではのシンプルな素材の味わいが生きているタルト・オ・ポンム。粉の味わいとバターの香りのするタルト生地にリンゴの爽やかさと甘さが生きています。これぞビオだからおいしい素朴なお菓子の代表でしょう。
マルシェに出かけるときに忘れてならないのがエコバッグ。外国のスーパーでは折りたためる丈夫なエコバッグがあるところが少ないので、旅行の時にエコバッグ、ジップロック、ワインオープナー、カトラリー、パンやタルト、フルーツ、ハムやパテなどを切るためのぺティナイフ(私はウェンガ―のものを愛用しています)を持参するようにしています。このセットがあれば、地元の人に混じってマルシェでの楽しいショッピング、持ち帰ってホテルの部屋での食事に困りません。
その土地によって異なる、その土地ならではのおいしさを体現しているのがマルシェの楽しさ。パリのラスパイユのマルシェはビオということもあり、全体的なお値段はかなり高めと言わざるを得ません。それにも関わらずこれだけの賑わいを見せているのは、安全性だけでない、手をかけて作られたビオ製品の素材の持つ力強いおいしさ、そしてパリの人々の食にかける貪欲な情熱の表れではないでしょうか。
STORE INFORMATION
Marche Biologique Raspail
Boulevard Raspail 750006 Paris
日曜日 9:00-13:30