第33回 ロンドン ミュージアム・カフェの楽しみ1
ロンドンでも東京でも時間が空いた時に
必ず足を運ぶところといえばミュージアムです。
大規模な美術館の常設展が無料な所が多いのも
ロンドンがミュージアム散策が楽しい理由のひとつ。
伝統工芸や服飾、デザインに焦点を当てた
ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアム
自然の不思議さと偉大さを気負うことなく
楽しんで学べるナチュラル・ヒストリー・ミュージアム
イギリス人の蒐集癖の熱さと共に
人類の遺産を堪能できる大英博物館と
世界でも有数の規模の美術館と博物館が立ち並ぶロンドンは
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者」という
英文学者サミュエル・ジョンソン氏の有名な言葉通り
特にアート好きには飽きることを知らない都市といえるかもしれません。
今回ご紹介するロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(以下RA)は、
ロンドンの中心地、ピカデリーに面し、フォートナム&メイソンの向かいと
買い物の途中にふらりと立ち寄るのにとても便利な場所にあります。
特に一人でのんびりとランチしたい時、スモークサーモンにグラスワイン
キッシュにコーヒーなどをいただくのに便利なカフェ&レストランは
イギリスを代表するプロダクト・デザイナー、トム・ディクソンのデザイン。
1885年に建築家ノーマン・ショウによって
設計されたレストランに3度目の改装をしたものです。
19世紀当時の古典的な建築の要素は残しながら
真鍮製の照明器具「エッチ」や「スクープ・チェア」など
トム・ディクソンならではのモダンデザインが
クラシックなインテリアと融合した不思議に落ち着く空間です。
料理はナショナル・ギャラリーのレストランも手掛ける
ペイトン&バーン・グループによるもの。
ここでは3コースのシンプルな英国料理のランチやディナーもありますが
アートに囲まれてひと時の優雅な時間を楽しむ、
軽いランチやカフェとして利用するのがおすすめです。
RAは1768年に国王ジョージⅢによって設立され
年間100万人以上の入場者を記録する人気の高い美術館のひとつ。
古代から現代までを網羅した斬新な企画展が有名です。
RAは政府からの援助を一切受けない独立した機関で
運営は約80名の会員、イギリスを代表する画家、彫刻家、建築家に
よって行われているのが興味深いところです。
会員には画家のデビッド・ホックニー、建築家のノーマン・フォスター卿などの名も。
政府からの助成金がないため、有償の特別企画展や
レストラン&カフェ、メンバーシップなど
ミュージアムを維持する収益を上げるための
マーケティング&セールスに積極的に取り組んでいます。
ロンドンのミュージアム&ミュージアム・カフェに
魅力的なものが多いのは、こうした独立採算を迫られる
各ミュージアムの経済事情があるからに違いありません。
歴史ある建築とインテリアも合わせて
ぽっかりと空いた日常の中でアートと過ごす時間を
味わうのが、ミュージアム・カフェの楽しみではないでしょうか。
STORE INFORMATION
Royal Academy of Arts
Burlington House
Piccadilly
London W1J 0BD
TEL +44(0)20 7300 8000
http://www.royalacademy.org.uk/