プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第30回 英国流おもてなし ブラウンズのアフタヌーン・ティー

イギリスを訪れたなら一度は体験してみたいと思われるのが本場のアフタヌーン・ティーではないでしょうか。
私の今までの体験を通して時おり残念に感じるのが、英国流おもてなしの心を味わうはずのアフタヌーン・ティーが、形式的な商業主義のティースタイルと混同されていることです。

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「アフタヌーン・ティーは英国スタイルのおもてなしの心の表れ」と語ってくれたのは、
ロンドンの老舗ホテル、ブラウンズ
コミュニケーション・マネージャー、ソフィー・ダーリーさん。
「ホテルによってはアフタヌーンティーが時間制になっていて、
2時間ほどで入れ替えるところもあると聞くけれど、
それはアフタヌーン・ティーの精神に反していると思います。」

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おいしいお茶とお菓子で過ごす、特別な午後の時間のおもてなしがブラウンズで考えるアフタヌーン・ティーの基本。ここでは優雅なシルバーのポットで供される17種類のお茶から、ホームメイドの手の込んだケーキや焼き立てのスコーン、ほっとする味わいのサンドウィッチに至るまで、ゲストが好きなだけいただくことができるそうです。

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お茶を慈しんで味わうことはアフタヌーン・ティーの基本だと思いますが、紅茶を入れるルールやアフタヌーン・ティーをいただく作法に神経質にこだわるのは、むしろイギリス的アフタヌーン・ティーの精神と遠く離れているのではないでしょうか。
今まで私が訪れたどちらのホテルでもアフタヌーン・ティーをいただく作法は特に存在しないという意見がほとんどでした。
紅茶の飲み方やスコーンの食べ方など、どこかで一方的に作られたルールを厳守することを気にするよりも、ホテルのティールームの雰囲気を壊さない常識的な服装や相手に不快感を与えない振る舞いさえできれば、あとはその日の主役であるゲストが自由に楽しんでほしいというのが真の英国的ホスピタリティ。
作法を気にするあまり、アフタヌーン・ティーを楽しめないのというのなら、それはむしろイギリス的アフタヌーン・ティーの精神に反しているというのが、ソフィーさんと私の意気投合した意見です。

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創業1837年、ロンドンで最も古い歴史を持ち、
アガサ・クリスティーが愛したことでも知られるブラウンズ。
ここには時代を経ても変わらぬ、人をもてなすイギリスの良心、
真の英国的ホスピタリティが生きています。


お知らせ
私の新刊「イギリスのお菓子に会いにロンドンへ」が発売になりました。
今回紹介した「優雅なホスピタリティを味わうブラウンズのアフタヌーン・ティー」をはじめ、
クラシックなイングリッシュ・ケーキ、モダンなオーガニック・スイーツ、
イギリスならではのサプライズのあるチョコレートまで、
紅茶とともにイギリス人の暮らしに息づくお菓子を、
オリジナルレシピやロンドンのお菓子やさんの情報も合わせて紹介しています。
いつもお世話になっているフード・ソムリエの読者の皆さまへ、
8月のプレゼントにさせていただきました。どうぞご応募よろしくお願い致します。
またご意見やご感想もお待ちしています。

STORE INFORMATION

BROWN'S HOTEL
Albemarle Street , Mayfair ,
London W1S 4BP England
+44 (0)20 7518 4155
www.brownshotel.com

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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