第21回 おいしいフィッシュ&チップスとは? グラスゴー
「イギリスの食」というと100パーセントと言っていいくらい、周囲の方に訊かれるのが「フィッシュ&チップスっておいしいの?」という質問です。
タラ(ハドックやコッドという種類がポピュラーです)や、カレイ、オヒョウなどの白身魚に、ビールで溶いたふんわりサクサクの衣をつけて揚げたものがフィッシュ&チップス。チップスはイギリスでは、フライドポテトを指しているので、これが揚げもの的にゴールデン・コンビな組み合わせの名前の由来です。
(因みに、「チップス」といえば日本ではポテトチップスのことを指すと思うのですが、イギリスでの呼び名は「クリスプス」。アメリカン・イングリッシュとの微妙な違いがあるのが、歴史的側面も含めてブリティッシュ・イングリッシュの面白いところです。)
これには、モルト・ヴィネガー(麦芽を原料とする醸造酢)と塩をジャブジャブというくらいたくさんかけて食べるのが、正統的ブリティッシュ・スタイルな食べ方。
19世紀後半には北海からの魚が安価で大量に出回ったこと、キリスト教では金曜日には肉を食べない慣習も後押しして、フィッシュ&チップスは労働者階級を主に、イギリス人の国民的な食べ物となりました。
揚げ物なだけに使っているオイルと魚の品質によって、評価が分かれるフィッシュ&チップス。ロンドン編はまた後日にして、今回はスコットランド最大の都市、グラスゴーのちょっとポッシュで、本当においしいフィッシュ&チップスをご紹介します。
ビールの炭酸ガスが衣の軽い食感とサクサク感の秘密です。むっちりとした白身魚のおいしさ、熱々ホクホクのチップスと、揚げ物のストレートなおいしさを堪能できます。チップスや定番の付け合わせ、マッシュ・ピー(グリーンピースのマッシュ)も、国民食フィッシュ&チップスにしては、ここではおしゃれっぽいプレゼンテーションになっています。
1935年創業、グラスゴーで最も古いレストランのうちの一つが、ここ「ロガーノ」。お薦めのシーフードは潮の香りが新鮮なオイスター。
たっぷりしたブイヤベース仕立てのムール貝。
建築家マッキントッシュの町グラスゴーらしい、当時の雰囲気を残すアール・デコ・スタイルのインテリア。カジュアルなビストロ・スタイルのカフェ・ロガーノ、オイスター&バー、レストランがあり、常に地元の人々で賑わっています。
それにしても根強い人気を誇る「フィッシュ&チップス」。日本のコロッケ(これも本来はイギリス伝来の西洋料理クロケットが由来だと思われます)、アメリカのフライドチキン、インドのサモサなど、例を挙げれば枚挙に暇が無いくらい、全世界的にフライド・フードは人気があります。揚げたて、熱々の「フライド・フード(揚げ物)」とは、人種・宗教を問わず、誰に対しても非常に分かりやすい「コンフォート・フード」(食べると心が癒される懐かしい味)。「フィッシュ&チップスが大嫌い」というイギリス人(ここでは広義の意味のブリティッシュを指しています)に会ったことがないのもその証ではないでしょうか。
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