プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第二回 「ベルリンの初夏のごちそう  ホワイト・アスパラガス」

日本にも季節を告げる旬の食べ物があるように、4月下旬から出回り始め、6月の終わりには姿を消してしまうホワイト・アスパラガス。独特の苦みとほのかな青臭さがおいしい、ベルリンに爽やかな初夏を告げる季節の野菜です。ホワイト・アスパラガスを山のように積み上げた屋台の店頭から、スーパーマーケットにいたるまで、この時期にはベルリンのあらゆるところでホワイト・アスパラガスを見かけます。

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ベルリンを訪れた人は誰もが一度は通るこのエリア。様々な歴史に彩られたブランデンブルグ門から続く、街の中心を通るウンタ―・デン・リンデン。ヒットラーの焚書事件で有名なベーベル広場を抜け、左手に見えるのがノイエ・ヴァッへ、右手はドイツ歴史博物館です。
 
日中の気温は高くても湿気のないベルリンの初夏は、戸外での食事にぴったりの季節。この日はベルリン国立歌劇場の裏手にあるOPERNPALAISのオープン・テラスで、カジュアルなランチを楽しむことにしました。

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開放的でリラックスした初夏の日差しを楽しむ人々で賑わうテラス。

今でこそ日本でも手に入るようになった生のホワイト・アスパラガスですが、以前は缶詰でしか手に入らない野菜のひとつでした。缶詰ではない、フレッシュなホワイト・アスパラガスを、私が初めていただいたのもここドイツでのこと。その時はいかにも「ごちそう」と言わんばかりに、一本まるごと切らずにゆでたホワイト・アスパラガスに、バターの香りが濃厚なオランデーズ・ソースがたっぷりとお皿に盛りつけられた、素朴で豊かなドイツらしいメニュー。野菜を「メイン」としてそのまま食べる、シンプルな料理法が印象的でした。この時ドイツで経験した「初めての美味しさ」が記憶に残っていたので、この日も、もちろんお薦めのアスパラガスをいただくことにしました。

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ホワイト・アスパラガス(Weissem Spargel) のサラダ マリネしたポーチド・サーモンとハーブ添え

あっさりしたサーモンとハーブのサラダに、アスパラガスのフレッシュな香りとヴィネグレットの酸味が、ベルリンの初夏を伝えてくれます。

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こちらはオペラ・プレート( Opera Teller )本日のお薦めの盛り合わせ。

こんな良いお天気の日には、おいしいベルリンのビールが欠かせません(笑)。アルコールに弱い方は、ビールとレモネードで作られるアルスター・ヴァッサーという爽やかなカクテルがおすすめです。この名前はドイツを流れる「アルスター川の水」といった意味ですが、カクテルといっても気取ったものではなく、どこのお店のメニューにもビールの下の欄に並んでいる、アルコール度数の低いカジュアルな飲み物です。

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そして食後にはアイス・コーヒーをどうぞ。

ドイツのアイス・コーヒーはホイップ・クリームとアイス・クリーム入り。びっくりするようなサイズと、ちょっと生ぬるい冷たさのコーヒーとの組み合わせが、日本のような猛暑がない国ならではのアイス・コーヒーを感じさせます。乳製品の品質が高いヨーロッパだからこそ、べたっとした感じのない軽やかな後味、高品質のフレッシュ・クリームの良さが楽しめるアイス・コーヒーです。

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澄み渡った青空の下、こんな爽やかなお天気の下でいただくランチは、初夏を告げるホワイト・アスパラガスの香りと、独特の開放感がなによりのごちそうです。

STORE INFORMATION

OPERNPALAIS

Unter den Linden 5
10117 Berlin, Germany
Tel:49-30-20268-3
WWW.opernpalais.de

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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