妻有その3。最終回です。
そもそも、妻有に来たのは、「文楽観にいこう!」というお誘いがきっかけだったのですが、
蓋を開けてみたら、公演前日にトークショーを開いていただいた
文楽人形遣いの吉田勘緑さん自ら
「明日やるのは文楽ちゃいますよ。間違っても文楽観てきたー!なんて言わんといてくださいね。ブログにも文楽いうて書かんでください。師匠に怒られますから」とおっしゃる。
↑トークショーにて人形を遣って見せてくれる吉田勘緑さん
というのも、文楽というのは、三味線と太夫あってはじめて「文楽」と呼ぶのであって、
今回のは三味線も大夫もいないため、文楽ではないとのこと。
文楽の人形を遣って、石笛や土笛・フルート、打楽器、波紋音など生の音楽にのせて、人形を通して思いを発するという今回の公演「儀明遥想 はるかなるおもい」。
場所は、こちら、儀明劇場 倉です。
山と空に向かってせり出す舞台。
見ての通り、舞台も客席も屋外。
ハコは小さいながらも、
視界には、見渡す限り一切の人工物が目に入らない、大自然を借景にした大舞台です。
前日まで雨だったので当日どうなるだろう…?と心配していたのですが、
妻有の人たちの想いが通じたのか晴天に恵まれ、
うろこ雲と入道雲が同居する、夏と秋が入り混じった青空をバックに公演を観劇しました。
音楽と人形が織りなす演目。
私がとても感動したのは、最後の神楽舞でした。
五穀豊穣を祈る舞は、人形の遣い手の想い、祈り、そして感謝を感じました。
自然への祈りや感謝、
地元に住み、生きる人々
公演を観にきた人たち
大地の芸術祭はじめ今回の舞台公演スタッフ
いろんな人や自然、そしてこの舞台があって、ここでこの公演ができているんだなー
そんなことを人形の舞を通して感じ、自分自身も祈りと感謝を捧げる神聖な気持ちになったのでした。
今回この公演を見られて本当によかったなー、、と
国立劇場で観る「文楽」とは違ったけれど
たくさんの「想い」を感じることができて素晴らしい舞台でした!
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<おまけ>
ほかにも見た妻有のアート作品をちょっとご紹介・・・
美しい棚田にもアートが・・!
↑まつだい農舞台から見えます。
こちらは古民家を作品にしたもの。
窓ガラスには、この集落を舞台に撮影された写真が刷り込まれています。
ここに住んでいた人々の暮らしと家族の姿を垣間見れます。
柱や床、壁など家全体が「彫られ」たおうち。
気が遠くなるような作業だっただろうなー、、と
「彫る」ことによって家も作り手も脱皮していった過程に思いを馳せたのでした。