8月2日(雨時々くもり)曜日。
この日の早朝、AM9:00の雨予報から6:00に飛び起きて、残りのホクシンを収穫しました~。
”フっ~”って息つく暇はなく、倉庫に帰ってコンバイン(”ロクロク”という愛称)と乾燥機のラインの掃除。予報は雨ですが、曇りの天気を眺めながら、”あきらめんな、今ならまだいける!”と言い聞かせ準備をしました。
そうです。当農場の香味麦選(こうみばくせん)
”キタノカオリ”(Kitanokaori)の収穫の番です。この品種、今年も去年同様、全道的に大きな被害を感じます。なぜかというと、穂発芽しやすい品種だからです。もう限界、一撃必殺という言葉があるとすれば、一雨麦殺という待ったなしの状態。予想されることはわかってます。でもやらないきゃ助からない。
午後2時、曇り時々雷雨という最悪のコンディションで戦いに行きました。
本人 ”気合い入れろ~ロクロク!”
ロクロク ”グェン、グェン、ピーーーーー”
コンバインがの水分でのどつまりを起こして、エラーの音が聞こえてきます。何度も何度も。
”雨よ降るなー降るなーあと3時間で俺に猶予を与えてくれ~”といっても、無常にも雨は降り。茎も穂もべちゃべちゃ。こうなったら、コンバインというのは適正な機能を果たせません。世界中どこ探したって、雨の日に収穫する農家っていないんです。想定外というか論外。
それでも、キタノカオリは穂発芽しやすく、さらにパンを作る際に必要なタンパク質が壊れて生地がつながりにくくなる低アミロという状態になりやすいのです。水分はまだ28%近くありました。ですが、待てない。
雨の中、指をくわえて見す見すキタノカオリの品質が落ちるくらいなら、ロス覚悟の上やるしかない。きっと、この日収穫していたのは、十勝でも数えるくらいか当農場くらいしかないと思う。通常ならやらない。
救出したとしても、うまく脱穀できず畑に残された麦たちも多数います。
なんのために、一年大きくなってきたのか?こんな収穫のされかたじゃ、納得いかないともいわれかねません。
全員は助けられない。でも8割でも救えるのなら、あなたならどうします?
次の日にはさらに5割くらいしかのこらないとしたら。未脱穀やシーブのつまりにより、畑にはまだ元気な麦たちが見える。作業に矛盾を感じながら、苦しい選択をしました。
250mくらいの畑を、片道走ってはエンジンコンプレッサーという高圧の風でベトついた茎や葉を、シーブといって実が落ち抜けるところに毎回のように掃除。そのシーブといって、通常は実が落ちる感覚しか開けないもの通常5~7mmくらい。だけど、前回に開いてなるべく再脱穀されるようにとか、実が落ちるようにできる限りの対策はしました。
8月6日に現場にいってみると、やっぱり・・・。ちゃんと穂から実が取れてない。特に一番下の実が未脱穀のまま穂にのこってました。穂発芽はしてなかったけど、土にこぼれた実は発芽していました。
悔やんでも悩んでもしょうがない。
無事収穫したカオリちゃんたちよ。畑に残された麦たちの分も、美味いパンに変身しておくれ。頼む!
皆さん、今年のキタノカオリはいつも以上に貴重です。よろしくお願いします。