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小麦の乾燥と選別作業

日本はアジアモンスーン気候というか、温暖湿潤気候なのは皆さん感じるところだと思います。
アメリカ、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、世界各地で主食とされ栽培されている小麦。
世界で共通する小麦とはいっても、栽培される産地はほとんどが乾燥地帯に近いところだと思います。
なぜか?収穫の時に雨が多いところでは、品質が劣化しやすいからです。穂発芽とか、カビの問題だとかに繋がるんです。

いくら梅雨のない北海道といえども、条件は日本の中。ここに小麦の高コスト生産の一因があります。防除の回数の多さに加えて、収穫時に乾燥状態の良い環境で適期に収穫できないジレンマ。ヨーロッパでさえ、貯蔵するタンクはあっても、乾燥施設を多大にもつということはないんです。アメリカなんか産地によっては野積み状態。”え~大丈夫なのか?”と思いますが、天気がよいんでしょうね。

前置きが長くなりましたけど、収穫した小麦ですよ。製品水分は12.5%以下と決められているため、乾燥機で脱水作業をするんです。なぜこの水分なのか?ようは貯蔵期間がながくなるため、このぐらいの水分状態でないと保存状態に影響があるからなようです。
作業工程ですが、
1.ダンプで運ばれてきた小麦をホッパー(投入受け)に流します。
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2.粗選機で、軽いごみや雑草の種、細麦などその名の通り、粗いものを篩い分けします。ゴミ部分が多いと乾燥効率も悪い。
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3.乾燥機にて、乾燥を開始します。うちのは循環式乾燥機といって、外気を吸い込み、バーナーで燃やした暖気が乾燥層になった部分を通りぬけ、後ろに排出するやりかたで乾燥します。大抵はこのやり方だと思います。畑からの小麦が水分が一定の時は良いのですが、水分にムラが生じる場合は、”調湿”といって、蒸れない水分の16%ぐらいで一度保温を続けます。大体5時間ぐらいおいておくと、内部で水分のない雑穀が、水分のより多く持つ雑穀の水分を吸収することで同じ水分にするということです。
時間はかかりますが、一定の水分で製品ができるメリットと、品質向上につながるということで行なっています。
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4、12.5%以下になった小麦は、貯蔵用のコンテナ2tとかパック500kg~1000kgパックに詰め替えられ出荷となります。
CIMG2078.JPG
ほとんど全てが機械による選別作業ですが、次々と小麦を乾燥しなければならないため、最盛期になると小麦の投入もしなきゃなんないし、排出作業も同時にやらなきゃならないなど、現場はとてもあわただしさを増すのです。

でもコストかかりすぎですよ!選別作業はありでも、良質麦をとるために、乾燥作業は一大作業で経費も莫大。外国のように圃場乾燥ができるならそれが一番いいにきまってる。日本の気候にマッチした雨や病気につお~く、さらに需要者のニーズにマッチした品種のデビューが待ち遠しい。行政改革でも農業改革でも何でもいい。とにかく、優秀な品種”ハルキラリ”とか”きたほなみ”とか”北海261号”とかを早く市場に投入してほしい。燃料高、CO2の排出、環境保全からも、”いまそこにある危機”を”いまそこにある新麦”で乗り越えたい、そう思うのであります。

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プロフィール


前田 茂雄(まえだ しげお)

【プロフィール】
1974年 北海道・本別町生まれ。
東京農業大学 卒業後、テキサスA&M州立大学、アイオワ州立大学にて米国の大規模農業経営や流通を学ぶ。
1999年 前田農産食品合資会社の4代目として本別町で就農。
103ヘクタールの耕作地で、小麦(ホクシン、北の香り、春よ恋)小豆(エリモショウズ、キタノオトメ)、甜菜を生産。

三児のパパ。
趣味:テニス、映画鑑賞、旅行。
(写真提供:日本農業新聞)

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2008年08月03日 12:39に投稿されたエントリーのページです。

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