2018年1月18日

有機JAS牛肉「ジビーフ」

今日は、初めての有機JASジビーフが割られる日。
記念すべき日に、記録係として同行させていただきました。

帯広にある畜産公社でと畜されたジビーフ(名前は、のり子。旧貴ちゃんママ)
沢山の方の想いと、手を通じて、ようやく枝になっていきます。

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その様子は素晴らしく、美しく尊いものです。

美人のジビーフは、枝になっても凛としていました。

枝になってから、有機JASのシールを貼るのですが、
これは生産者自らの手で行われます。

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生産者の西川 奈緒子さんの側には、
マルハニチロの岩崎 方保さん、
HOBA(北海道オーガニックビーフ協会)の花房さんが
With Gとして、ずーっとつきっきり。

有機JASの牛は、他とは交わらないように、その日一番最初にラインを通ります。
また、普通の牛とは距離を置いて(間隔をあけて)、手順を踏んでいきます。
更に枝になった後も、他の枝と触れないよう、ガーゼをまとうのです。

大切に飼育された牛が
徹底して管理されて肉になっていくさまを見せていただきました。

私たちは普段、食卓やレストランのお皿に上った牛肉か、
生きている牛しか見ることがありませんが、

こうやってたくさんの人の手、
想いを経てたどり着いているモノなのだ...ということを改めて感じました。

■頑張って生きたあかしの骨

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公社の方が「有機JASの基準を勉強したいのですが...」と言われた時には、なんだかウルッと来ました。

ジビーフはこうやってまた、「人と思い」をつないでいくのですね。
感動しました。

2016年4月27日

白糠酪恵舎 井ノ口さんのセミナーを終えて

昨日は、フードソムリエの料理家さんを対象に、
白糠酪恵舎の 井ノ口 和良さんを招いて「チーズセミナー」を開催しました。

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井ノ口さんとの出会いは11年前。
私がUターンしてすぐのころ、
当時通販「北のフードソムリエ」を立ち上げるべく、チーズを探しておりました。

北海道中のチーズ工房からチーズを取り寄せ、色々と食べ比べてみた結果、
私は井ノ口さんのチーズが一番好きだったのです。


初めてあった日のことは、今でも鮮明です。
なんて緊張感のある人だろう、
でもこの人のチーズなんとしても売りたいと思ったのです。

あれから11年。
今では押しも押されぬ人気のチーズ工房となりました。


井ノ口さんの素晴らしいところは、
常に門戸を広げ、本気で学びたい人には、その知識をおしみなく提供してくれるところです。

他のチーズ職人さんのことはよくわかりません。
でも、こんなに死に物狂いで積み上げてきた知識や知見を、
相手の想いにこたえ、
その人が分かるまで伝える努力をしてくださる方は他に見たことがありません。

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井ノ口さんは「感性の人」ではなく
「努力の人」であり、「原理原則的な人です。

だから、事実を追求し、そこに理由を見出し、解決しようとされます。
そしてそのためには時間も手間も惜しまない。

まるで職人と科学者の2つがあいまったような人です。
だから多くの人が彼に魅かれていくのだと思います。


しかし、本当に厳しい...。
だから誤解を受けることもあると思います。

昨日も何度も叱られそうになりましたが、
私もいい感じに年を積み重ねて百戦錬磨です
図々しさには定評があります(大笑)


おかげさまで、忙しい時間をいただき、
素晴らしい講習会となりました。

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ご参加の皆様には、弊社の準備が不足で、
一部最後の食べ比べでは、わかりにくさがあって申し訳ありません。

また、内容は難しかったと思いますが、
チーズ製造とはそれほどに
「針の穴に糸を通すかの如く一点を狙って、息をのみ、研ぎ澄まして行われるもの」なのです。

そのことは、ご参加の皆様にもしっかり伝わったことと存じます。

これを機会にチーズにますます興味を持っていただければ幸いです。
私ももっともっともっと勉強します!
井ノ口さん、ご参加の皆様ありがとうございました!

2015年11月27日

職人の美意識


子供のころからお肉が大好きで、
好きすぎるあまり、小学生のころは同級生のお肉屋さんに入りびたりw

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母親はいつも私に
「あなたの夢はお肉屋さんに嫁に行くことね」と言っていました。

私は「ママったらなんてナイスなことを言うんだろう」と思って過ごしたわけですが、残念ながら、その夢はかないませんでした。

しかし最近は、幸せなことに
いろんなご縁でお肉に近いところで楽しい思いをさせていただいております。

私の仕事は「一次情報を、良質な二次情報として発信すること」なのですが、肉の世界はあまりにも奥深く、なかなかこのことに近づくことができません。

先日、京都きたやま南山で行われるイベントの開始前に、
サカエヤの新保社長がお肉を捌くというのです!

サカエヤさんといえば、肉好きならだれもがその名を聞いて舌なめずりしちゃうお店。プロフェッショナルの世界ですから、これまで何度お願いしても、素人の私に肉を捌く姿を見せてくれることはありませんでした。

でも、なんの気まぐれか、この日は「朝から当日のイベント用の捌くから~見に来てもいいよ」と。
この機を逃してはいけない...と、朝早く新幹線に乗って出かけ、
午前中その捌きを見せていただきました。

この日は、サカエヤさん以外に、ル・キャトーズイエムのしげさんもお肉をさばきます。
楽しそうですねぇ...。
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その横には、「きたやま南山」の楠本社長の息子の了平くん(サカエヤさんで修業中)と、南山の店長である岡田くんがアシスタントにつきます。

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お肉をさばく様子をあまり見たことがない私にとって、
新保社長の肉さばきは本当に見事で、すっかり見入ってしまいました。

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それはまさに「技」であり、「経験の塊」。

骨の形を把握し、筋の流れを見て、滑らかに包丁を入れると、肉の重量や流れ(?)を使ってするすると滑るように、パーツに分けていくのです。

もし、このお肉たちに痛点があったとしたら、きっと痛くはなかっただろうなぁ...。「何があったかわからないうちにブロックになっちゃったなー俺たち」なんて思っているだろうなぁ...そんな風に思ったら面白くて一人でクスっと笑ってしまいました。

まるでパズルのよう。
いや、パズルというのはなんだか表現として違っていて、

少し離れて見ていると、
その姿はオーケストラを指揮しているコンダクターのようで、
音楽が聞こえてきそうな、そんな感じなんです。

新保社長の手の先に握られた包丁は、もうすでに包丁ではなく、
手の延長で、私にはまるで羽のように見えました。
刃先まで神経が通っている感じ...。

まるで白鳥が翼を広げて、水辺を滑るかのよう。
見ているというより見とれてしまったというのが正解ですね。


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何もわからない私ですから、
率直に感想を伝えたら「もっとうまくなりたいんだけどね」と言われました。

うん、そうそう、そうなんだ。
職人さんって技術が高ければ高いほど、みんな同じことを言う。
仕事が美しくて無駄がない、そのうえでまだ成長半ばだとおっしゃるのです。

こういう方に出逢うと、どんな哲学なのか、どんな美意識なのか...とついつい考えてしまいます。
次は是非とも、インタビューさせていただきたいと思っています。

でもね...きっと断られ続けるだろうから...、3年後くらいかな?(笑)

2015年11月11日

食べるとは何か?

生きることは食べること。
命をいただくこと。

この言葉がいろんな場面で使われるようになってきたように思う。

私は生産者の一次情報を
良質な二次情報として発信したいと思っている一人だ。

時々、素人ゆえに生産者の方に無理なお願いをすることもある。

「去勢するところを見たいのです」

この言葉に本気で答えてくれたのが
十勝清水で十勝若牛を生産する「表牧場」さん。

私がお願いしても、誰もが「またまた~」とか「何言ってんの~」と軽くいなされちゃうことが多いけれど、表牧場の表裕一郎くんだけは「いいですよ、連絡します」と言ってくれた。

そして、去勢当日の朝
「今日の午前中にやります、来ますか?」と連絡が。

朝から打ち合わせが入っていた...。
でもこの機会を逃したくない。
打ち合わせを30分で切り上げ、急いで十勝御影にある表牧場へgo
少しスピードもオーバーしていたかもしれないが、私の頭の中もかなりオーバーヒート気味だった。

どんな形式でやるんだろう、
牛は暴れるんだろうか
その時、私はどんな気持ちになるのだろう...

運転しながら複雑な思いが続く。

到着してみると、既にこの日62頭の去勢予定だったのだが2/3は終わっていた。
「あ~、こっちこっち」と裕一郎くん。


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強面の表パパには「あんなぁ~、高いよ~」と言われ、
なんだかちょされると(北海道弁で、いじられるの意味)、
少し親しくなってきたような気がして嬉しい。

さぁ、いよいよ去勢を見せてもらう。
この小さな囲いの中に、やさしく追って1頭ずつ入れていく。

決して引っ張ったり、押したりはしない。
ここからは危ないよとまるで両親が手を広げて子供を守るかのようだ。
(カバディみたいにも見えるw)

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表牧場の特徴は「哺育技術の高さ」と言われている。
確かに、いついっても牛たちはとても綺麗でピカピカしている。
十勝若牛は通常のホルスタインが20か月出荷なのに対し、
14か月齢で出荷するから、実は子供の頃に病気や瑕疵があると取り返しがつかない。

だからこそ、哺育に力を入れているし、愛情深い。
表くんのお父さんはちょっと怖いけど、愛がイッパイだ。

さて、いよいよ去勢。
袋を切って、玉を2個取り出し、先がかぎ状になっているドリルのようなもので、精管(っていうのかな?)をくるくる...と巻きつけて切り落としていく。
終わったらヨードチンキを付けて終了。

ちなみにフリーマーチンの牛は、乳首を切る。
「メスとして出荷する悪い親父がいるからよー、一目でわかるようにこうなっちまったんだよ。切る必要ないのに可哀想だよな」とは、表パパの言葉。

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ほとんど出血もないが、最初に見た1頭はびっくりしたのかウンチをしてしまった。
下記は取り出したばかりの睾丸。軍手は色んなものにまみれている。


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最初の一頭の去勢を見た時に、私の頭の中は驚いたことに「無」だった。
そして、じんわり込みあがってきた感情は「感謝」だった。
「ありがとう」この一言がポロリとでた。

そして、そのあとはずっと彼らを応援していた「ガンバレ―」「ガンバレ―」と。

そのことを裕一郎くんに伝えると、
牛の人生を考えるとそうなりますよね、と言われた。

私は人間というカテゴリーにいる自分の傲慢さを思い知った。


去勢が終わった後の牛たち。
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彼らの睾丸をいくつか貰って帰ることにした。
食べてみようと思ったからだ。

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外の皮を2枚むいて、食べてみた。
色んな想いは除くとしても、とっても複雑な味がした。

ありがとう、感謝してます。

池田ワイン&北海道ホテルランチ♪タクシーの旅

普段、あまりお酒を飲めない私は、いつも運転手。

でもね、地元のワインをもっと知りたい!と思って、
先日北海道宝島トラベルさんのプランで、タクシーで行く池田ワイン城に行ってきました。

旅の友は、いただきますカンパニーという畑のガイドツアーを行う会社の井田ふみこちゃん。旧知の仲ですが、こんな風にプチ旅行するのは初めて♪

よーし飲むぞ―!!と、ぶどう畑の前でパチリ


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このぶどう畑は、池田町がワインづくりを始めた時からある畑なのだそうです。山のふもと、ずらーっと並ぶぶどうの木々。

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ついたらまずはこれでしょ♪
樽ガールになれる記念撮影をば♡
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遊んでばかりいないで、ちゃんとお勉強もしなきゃ...ということで、
池田ワイン城のストーリーとワイン造りのお勉強コーナーへ

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北海道の自然は過酷です。
この日は、初雪が降った日だったのですが、
池田ワインの始まりは「冷害」だったと聞いています。
2~3年続いた冷害で、思うように畑の農作物の収穫がなく農家が疲弊する中、山にあった「やまぶどう」は実をたわわに成らせていたそうです。
「これを育てればよいのではないか?」と考えた町長が音頭をとり、
スタートしたのが、この池田ワインなのだそうです。

子供の頃から身近にあったワイン城ですが、裏にそんなストーリーがあったんだなぁ...。

今は随分と暖かくなってきた北海道ですが、昔は本当に寒くて
子供の頃は通学だけで足にしもやけが出来るほどでした。

沢山の方の想いがつながって、今もこの地にワイナリーがあるんだと思うと
感慨深いものがあります。


さて、いよいよ、本日のメインである「ワインの試飲」へ
ここでは、3つのワインが選べる有料試飲がなんと700円!!(税込)
これに、チーズとベーコンのおつまみも付きます。
今回、私たちは2人だったので、飲み比べセットを2つ頼み、
全部で6種類を飲み比べ。

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このコーナーでは、担当の中川さん(優しくてダンディ&フラットで豊富な知識をお持ちです)が、丁寧に説明してくれます。
非常にお詳しいので、色々と聞いてみることお勧めいたします♪

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例えば代表的なワインは、
池田で作られた寒さに強い固定品種「清見」を100%使用した「清見」。

また今回飲み比べをした山幸、清舞は、
♂山葡萄×♀清見種の掛け合わせで品種としては兄弟ぶどう。

今現在はそれぞれ固定品種となり、そのぶどうで作られたワインが楽しめます。

山幸は山ブドウのスパイシーさが強めのワイン。
清舞は酸味のバランスが良い感じ。
同じ交配でも味がこんなに違うんだな~面白いな~と飲み比べしてきました。

また、数種類のブドウがミックスされたセイオロサムやシャトーは、
味が複雑でいろんな香りが楽しめます。

飲み比べすると味の違いがわかって本当に楽しく、好みの味をみつけられます。


ここでは試飲やお買い物だけでなく、
地下の熟成庫は見学ができるようになっています。

ひっそりと静かに樽が並ぶ不思議な空間です。

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何年も眠っているビンテージワインたちも
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自分の生まれ年のワインがあるかしら?と探しながら、静寂が漂う熟成庫でゆっくりワインと一緒に語り合いたい...
なんとなくそんな気持ちになる空間でした。


ところで、ワイン城の中には池田の観光協会があります。
ここに行くと、色々な地域情報や美味しいお店などの案内もしていただけますので、
池田のワイン城に行かれた方はぜひとも立ち寄られることをお勧めします。

それから、どこにでもあるような品が並んでいる売店が多い中、
池田ワイン城の売店には意外と地元のモノが多く売っていますのでこれも必見です。

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観光協会の前のショーケースには、色んな著名人のサインがかかれたボトルが展示してありました。
うわぁお!ポール牧師匠のサインも!

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ワイン城を後にし、ぶどう畑や十勝の農村風景を眺めながら、
タクシーで30分走り、北海道ホテルへ♪

森のスパリゾート北海道ホテルでは、
ガーデンが眺められる「バードウォッチカフェ」でシェフのスペシャルコースのランチ。
メニューはこんな感じですよ。
昼間からお腹イッパーイ♡

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もちろん、十勝ワインのラインナップも

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お味はこのふみちゃんの顔をみていただければ♡ ねっ♪

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4時間のショートトリップ♪

飛行機までに少し時間があるわ...とか、
夜はしっかり屋台で楽しみたいわ...という方に
好みが見つけられて知識も身につく、ピッタリのおすすめコースです。


2015年11月 1日

人間のスケジュールに合わせるのをやめたよ


11月1日から3日間、テッラマードレジャパン2015
私の地元十勝で開催されています。

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テッラ(地球)+マードレ(母)で「大地を作る人」を意味し、

たくさんの生産者や学生、食に関心・興味のある方が参加して、
学び、気づき、体験のプログラムが提供されます。

私はその中で味覚教室を担当するのですが、
今日、大地を耕す人である生産者・大石農産の大石富一さんとの会話の中に、素晴らしい気付きがありました。


「僕はね、人間のスケジュールに合わせるのをやめたよ」と、
大石さんはおっしゃるのです。


農業と資本主義は相性が悪い、
企業の農業経営は難しい等とよく言われますが、

実際に消費者である私たちはその言葉を頭では理解できるけれど、
真意まではピンとこないのが事実です。

でも、この言葉を聞いて「なるほど」と理解できました。

私たちは普段、様々なスケジュールにのっとり仕事や生活をしていますが、
農業は人間のスケジュールではなく
大地や自然、作物のスケジュールで生きねばならない
んだ...と。

私たちフードソムリエは、
生産者さんの発する一次情報により近い、
二次情報発信者でありたいと常に思っています。

目指すべきはこういう情報ちゃんとキャッチして発信することなんだ!ってしみじみ思った夜でした。

2015年6月15日

プロのためのフードツアー2/オークリーフ牧場

プロのためのフードツアー、
訪問2か所目は十勝・芽室町の「オークリーフ牧場」。

牧場や畑の視察...、こうやってアップしていると
「どこでも受け入れてくれるのだ...」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、
防疫の関係からも実際にはなかなかお引き受けいただくことは難しいのが現状です。

ですから、コーディネイトする側はものすごく気を使います。
目的を事前に伝え、参加者の情報を開示して受け入れていただきます。

参加者のみなさまにもできるだけそのことを理解していただくように努力しています。
その思いは、「旅のしおり」に書かせていただいています。

さて、オークリーフ牧場では、
日本で唯一「ホワイトヴィール」を業務用に出荷している牧場です。

■オークリーフ牧場
www.oakleaf.jp/

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ホワイトヴィール、ホワイトは「白」、ヴィールは「仔牛」を表し、
ミルクだけを飲んで育てた牛をさします。
ヨーロッパなどでは、色が乳白色であるものが最良と言われ、
肉質の色に関係する光の遮断するため、真っ暗な部屋で飼われたり
運動することによりヘモグロビンが増えたり、
筋繊維が発達することを嫌うため、
ものすごく狭いゲージで飼われたり...など、
動物福祉の観点から度々指摘を受けることがあります。


しかし、オークリーフ牧場では、風が吹き抜ける清潔な牧舎で、
他の畜舎と比べれば多少光を遮断し、2頭ずつ柵の中でちゃんと動ける状態で飼われています。


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実際に、私たちの姿を見た仔牛は少し興奮気味で、柵の中を走り回ってしまい、牧場主の柏葉さんは苦笑い(ごめんなさい...)

その後、他の牛たちも拝見させていただき、
夜は春香楼で、オークリーフ牧場の未来めむろ牛をいただきました♪

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こちらは私の弟が山でとってきたウドとワラビを使った春巻き。
シェフもみんな「おぉおおおおお」と絶賛の嵐。
いやぁ、本当に美味しかったです。

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最後はマッキー牧元さんのかけ声で
「やぁ~」と締めくくられました。
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2015年6月14日

プロのためのフードツアー 十勝若牛/おもて牧場

2015年6月7日~9日の2泊3日で開催された「プロのためのフードツーリズムツアー」。
充実した内容の3日間をご紹介していきます。
まずはカリキュラムを♪
これを見ただけでも濃厚な時間であることがわかります。

走行距離1025kmの旅をご案内いたします。

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<スケジュール>
■6月7日(日)
・帯広空港着
・十勝若牛視察 おもて牧場
・ホワイトヴィール視察 オークリーフ牧場
・放牧酪農視察 しんむら牧場
・会食(春香楼)
 
■6月8日(月)
・食肉プロ集団 エレゾ視察&ブランチ
・完全放牧野生牛 駒谷牧場視察&BBQ
・夜の街に放牧w

■6月9日(火)
・短角牛視察 北十勝ファーム(音別)
・羊視察 茶路めん羊牧場
・チーズ工房視察 白糠酪恵舎&ランチ
・釧路空港発


最初に訪問したのは十勝清水町の「おもて牧場」
こちらでは、十勝若牛(14ヶ月齢で出荷されるホルスタインの去勢雄)を生産しており、
仔牛から出荷まで行っています。

非常に衛生面に優れ、健康管理の行き届いた牧場で、
仔牛たちが順番にミルクを飲んでいます。
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こちらは、十勝若牛を手がけるJA十勝清水町の岡田参事と、
滋賀の著名なお肉屋さんサカエヤの新保社長。二人は同じ年なんです。

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今年の1月に行われた「赤肉サミット」で、この十勝若牛を焼いてくれた
レカンの高良シェフもお越しくださいました。
牛を愛おしそうになでる姿が印象的でした。

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当日は、おもて牧場の表裕一郎くんがみなさんを迎えてご案内くださいました。
営業マンの経験もあるので、「お客さまの気持ち」を大切にする生産者さんです。

一見普通のことのように感じられますが、
北海道では多くの場合、ホクレンに出荷して終わり...というケースが多いため、
届いた先にまで思いを馳せる生産者というのは意外と少ないものです。
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表くん、これからが楽しみな若手生産者の一人です。
どうぞ応援してくださいね。

2015年3月19日

本日3月19日。MIIKUは、一般社団法人日本味育協会となりました

本日3月19日(みいくの日♪)、
日本味育協会は、これまでの任意団体から、
一般社団日本味育協会となりました!

ずっと取り組んできた「味覚教育」ですが、
そもそも味覚に興味を持ったのは、小学校入学時...。

給食がどうしても食べられず、
小学校1年の1学期中は、
毎日居残りし、みんながお掃除している中も
ずーっと給食を食べている落ちこぼれの子供
でした。


その理由を知るのは、小学校3年の時。
当時私の実家、味噌・醤油の天然醸造の蔵をやっていたのです。

担任で赴任した先生が、
「北村の家の醤油と味噌美味しいなぁ」と買いに来てくれたのです。

そうか!醤油が違ったんだ...、
だから食べられなかったんだ...
と知るのはこの頃です。


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そんな私の味覚も、どんどんと鈍くなり、

次にまた興味を持つのは東京に引っ越して3年、
1人暮らしを始めたころでした。

いつも東京のスーパーで買う十勝産野菜の味と、
母が小包で送ってくれる十勝産野菜の味が違う!

「あれ?同じ十勝産なのになんでだろう?」と感じたことがきかっけでした。


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いつしか、この美味しい食材をみんなにも届けたいな...と思うようになり、
30代半で北海道にUターンを決意した際に選んだのは「通販」でした。


そして、その後40歳でこのフードソムリエを設立。
同時に、一般社団法人日本味育協会の代表理事を務める宮川順子氏、
同理事を務める口福ラボの菅慎太郎氏と出会います。


あれから、8年。
少しずつロジックと内容を整備し、
素晴らしい講師のみなさまのお力も借り、
本日、一般社団法人となりました!!

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また、同時にこの3月、
生涯学習のユーキャンから、

一般社団法人日本味育協会認定講座
『食育実践プランナー講座』がデビュー
いたしました。

▼食育実践プランナーについ
http://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1358/job/


ここまでの道のりは、とてもゆっくりでしたから、
きっとこれからもゆっくりじっくり進んでいくのだと思います。

しかし、確実に着実に前に進んでいきたいと思っております。
どうぞ今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

■MIIKUキッズシェフ
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2015年2月25日

紫竹昭葉様「伝える力」サマリー(第3回キャリアデザイン大賞基調講演)

去る2015年2月22日、北海道帯広市で開催された第3回キャリアデザインフォーラムで、
基調講演をしてくださった、紫竹ガーデンの紫竹昭葉さん。

インタビュー形式でお話を伺ったのですが、実は事前の打ち合わせは3時間半にも及んだのです。
講演会で紹介しきれなかったことも含め、自分の記録のためにもダイジェストを書かせていただきます。


◆60才で夫を亡くし、泣いて暮らした2年間。

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毎日沈み込む紫竹おばあちゃまに、ある日娘のかずよさんは、
何気なくこんな一言を発しました。

「お母様のことをお父様はひまわりのような人だと言ってました」と。

その時おばあちゃまは「ハッ」と気づいたのだそうです。
「娘たちは、父を亡くしたばかりでなく、母もまるで亡くしたかのようにつらい思いをかけたのだ」
「夫は私のことをそんな風に思ってくれていたのか」
...と。

この娘さんの言葉の翌日には「ちゃんとしなきゃ!」と一気に立ち直り、
そして次の目標を掲げ歩み始めます。

◆お花畑を作ろう!

身体が丈夫であることから、残りの人生は、平均寿命と思えばあと残り25年。

1、自分が楽しいこと
2、一緒にやっている人も楽しいこと
3、そして社会の役に立つこと。

...をしよう!と考えます。

しかし、62才で就業経験も少なく、華道や茶道の免状は持っているけれど教えるほどとは思えずおばあさまはハタ...と考えてしまいます。

そして、ふと思い出すのです。
子供のころ帰り道にいつも花を摘んで帰ると、両親が喜んでくれた日のことを...。

当時の十勝の農業はすでに大規模化しており、
小さな花畑がどんどんと農地に変わっていった時期でもありました。

そこで「よーし、お花畑を作ろう」と思い立ったのです。

思い立ったらまず、家族に相談しました。
しかし、だれからも「無理む~り」と言われてしまいます。

次に友人に相談してみたところ「あなた何を言ってんの、絶対無理」と言われ、

農家の方に相談しても「奥様お気持ちはわかりますが、それは難しいですよ」といわれる...。

しかし、絶対にあきらめない紫竹おばあさまは、何度も何度も家族にこの話をしたそうです。

◆夢を見るのは才能です


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やっぱり私の考えは無謀なのかしら...と思っていたある日

ふと、娘婿の隈本さんがこう言いました。

「お母さん、それは夢なんですか?」

「はいそうです、私の大きな夢です」

すると次にこういわれました。

夢を見るのはそれぞれの自由ですからね、夢を見るのは才能の一つですよね」と。

そして、隣にいた娘さんも「そうね、夢を止めることはだれにもできないわね」と。

これを聞いて紫竹おばあさまは、「やった!ようやく受け入れてもらえた!」と思ったそうです。

後日談ですが、この発言をしたとされる隈本さんはこのことを「覚えていない」のだそうですw

成功する事業家に共通していえることですが、
夢を見るのも才能であれば、思い込むのも才能なのです!
ようやくここから紫竹ガーデンのスタートに向けて準備が始まります。


◆農地取得後も...「お金がかかるなんて知らなかったわ?」

さぁ、OKがでたら、まずは農地を取得せねばなりません。
当時は「ガーデニング」などという言葉もない時代。

一体何をするのか?と周りの人はいぶかります。

また新規就農は60歳まで。
60歳を超えての就農は後継者がいなければできないという最初の壁にぶつかります

しかも土地を取得した後に「お金がかかるなんて思ってもいなかった」のだとか。

木を植え、整地をし、苗を植え...。人手もたっぷりかかります。
「もちろん土地を買うのにお金が必要なことはわかっていたのよ」とニコニコ。
「銀行に行って、お金を貸してください」といって貸してもらったの、良い人ね~とw

さて、実はこのとき、紫竹おばあさまが知らなかった大きなことがもう1つありました。


実は農地に土を盛ったり、坂を作ったり、池を掘ったりしてはいけなかったのです。

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すっかりそんなことは知らずに整地して、ガーデンの基礎を作ってから、
農業委員会に呼び出されたおばあさま。
それはまるで被告人席に座るような気分だったといいます。

「すでにやってしまった、お金もかけてしまった、だから少し時間をください」
とおばあさまは訴えます。

「どのくらいの時間が必要ですか?」と尋ねる委員に

「20年...くらい」と答えたのだとか。

委員の方はあっけにとられたそうですが、もうこれはダメだ...と思われたのでしょう。

「始末書」を書いてくださいと言われた紫竹おばあさまは、
家に帰ってちゃんと娘さん夫婦にお願いして書いてくださいと言われた言葉を制し
紙に「ごめんなさい、もうしません」と書きました。

当然、「これではだめです」と言われ、書き直し、またダメと言われ書き直し...。

途中で悔しくて涙がポロリとこぼれたそうです。

最後は相手が根気負けw

その時おばあさまは「やった!私の勝ちだ」と思ったのだというからすごいことです。


この打ち合わせの最初にうふふと笑いながら茶目っ気たっぷりに
紫竹おばあさまは、私にこう言いました。

「私は、転んでもただでは起きないのよ。
 転んだ瞬間に、どう転ぶか考え、どう立ち上がるか考えています」
と。


目的がはっきりとしていれば、そこに至るまでのすべては手段である。

今回も紫竹おばあさまの行動・発言からこのことを学びました。


◆ガーデンに人がたくさんやってくる理由は、おばあさまの「NOと言わない心遣い」

さて、晴れて新規就農し、ガーデンをオープンした紫竹おばあさまですが、
最初の年は宣伝しても2000人のお客様しか来なかったのだそうです。

従業員の給料も払えない...と、娘さんと一緒に北海道中の市町村を回って営業をしてあるきました。

町の公園を、木や石ではなく、花畑のように、花がたくさん咲く憩いの場にしましょうと提案し、
十勝管内にとどまらず上湧別、旭川、函館...。
ありとあらゆる地域のお仕事をとってやられたのだそうです。本当にすごい...

お金がかかることもも知らないまま起業して25年、現在88才になられます。

現在では年間12万人以上が訪れる「紫竹ガーデン」には、
実はこんなすごい数々のストーリーが隠されていたのです。


私は、全国からお客様が訪れ、
おばあさまの姿を見て泣き出すお客様を現地で何度も見ています。

それは、みんなが自分のつらさや苦しさをおばあさまのイキイキとした姿に
重ね合わせるからなのだ...ということがわかりました。

また、これらはひとえにたゆまぬ努力のたまものであり、
お人柄に対するみなさんの熱い思いが溢れ出すから...であることもわかります。


さて、そんな紫竹おばあさまの素敵なエピソードをいくつかご紹介いたしましょう。

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◆トレードマークの帽子の秘密

紫竹おばあさまといえば、「帽子がトレードマーク」と思われる方も多いと思います。
それでは、どうしてお帽子をかぶっているかご存知でしょうか?

紫竹ガーデンのある場所から、街中まで車で片道40分。
美容院に行っている間にかかる3時間の空白時間に、
もし全国から紫竹ガーデンにお客様がいらして、私がいなかったら残念に思う方もいるでしょう?
だから私は美容院にいけないの...と帽子をとって、散切りのヘアを見せてくださいました。

「私だってオシャレしたいのよ、素敵なヘアスタイルもしたいの、でも帽子って便利よ。うふ」と。

◆チューリップ球根事件
紫竹おばあさまの魅力的なエピソードはいくつもありますが、
私がもっとも驚かされたのは「チーリップの球根事件」です。

新潟のある場所のイベントで、チューリップの花びらと球根を空から蒔くという企画があったのだそう。
もちろん実行委員会はたくさんのチューリップの球根を用意していました。
その数20万球...しかし、箱をあけてみたらカビが生えていた...。

慌てた委員会は、これは北しかない!と北海道中を探して、紫竹ガーデンにたどり着いたそうです。
そして、なんとか球根をいただけないか?と懇願され、
なんと紫竹さんは「植えてある球根を掘り返して20万球を用意した」のです。


男性の経営者であればこんな判断は絶対にしません。
何十人という人手が必要で、しかも短時間で掘り返して詰めて...気が遠くなるような作業です。

どうしてお引き受けされたのですか?と聞くと

「だってその方の立場になったらあなた、わかるでしょう?」
「私、頼まれると断れないの...」
と。

あぁ、これこそが紫竹おばあさまの魅力なのです。
私が知っている紫竹さんは決して「NO」とは言いません。
この講演会も「無理よ~」と言いながら、私がインタビューするという形でお引き受けくださいました。

ここにも成功する経営者のポイント「NOと言わない」があります。

紫竹おばあちゃまは、最後に「老後の夢」を語られました。
おばあさまの夢は

今一緒に働いてくれている従業員やお友達が、
ずっとお仕事を続けながら住み続けられる花畑の中のお家を作ること。

ずっと健康で、ずっと働いて、人生をともに全うしたい...
従業員さんへの思い溢れるお言葉に会場はみんな胸が詰まる思いでした。

紫竹おばあさま、本当にありがとうございました。

◆当日の会の運営を行ったキャリアで在ネットワークのメンバー及びキャリアデザイン大賞ノミネート者と一緒に

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プロフィール


北村 貴(taka)
フードソムリエ代表


20年間の東京生活を経て、
2004年12月、真冬に
故郷・北海道十勝へ戻る。
よく食べ、よく遊び、よくしゃべる。
特技は四葉のクローバー探し

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