【第13回】 Passover Pesac(過越の祭り)@ニューヨーク-U.S.A.
N.Y.滞在中のある日曜日。
ユダヤ教の重要な宗教行事の1つである
「過越しの祭り」の時期に重なりました。
過ぎ越しの祭りとは、イスラエルの人々がモーセの導きにより
エジプトを脱出し奴隷の身から解放されたことを祝う記念の日。
このユダヤ教の人にとってとても大切な日、
私達は夫の会社の同僚の女性のお宅に
ご招待いただきました。
さすが、ユダヤ人人口の多いニューヨーク。
彼女の嫁いだお宅はユダヤ教のおうちで、
毎年「過越しの祭り」の夕食会を持つとのこと。
ユダヤ教にあまりなじみのない私たちをお誘いくださり
とても興味深い時間を過ごす機会をいただきました。
Kosher Wine (コーシャワイン)をお土産に・・・
初めて経験する、過越しの祭りのディナー。
大変恥ずかしながら、どんな手土産がふさわしいのか
全く分からなかったので、ご招待いただいた同僚の女性に尋ねてみました。
すると帰ってきた答えは「手土産なんて要らないけれど、
もしどうしても何か・・・というのであればKosher Wineなんかが嬉しいわ」
とのこと。
"Kosher"(コーシャ)とは、ヘブライ語で「正しい」とか「適正な」
という意味を表わす単語。
コーシャ食品は、ユダヤ教の「カシュルート(食事規定-食事に関する掟)」
に従って作られ、ユダヤ教のラビ(聖職者)によって認定された
食べ物のことを指します。
その食品への添加物の有無などはもちろんのこと、
全ての製造過程においてユダヤ教の戒律を守っていることが
ラビによって確認されていなくてはなりません。
いままで"Kosher"の存在を知識としては知っていましたが、
実際に自分がそれを購入することになるとは思ってもみませんでした。
ニューヨークのワイン屋さんには、この時期コーシャワインが豊富に
揃っていて、店員さんに相談しながらお土産にするワインを購入しました。
過ぎ越しの祭りのディナー
さて、ディナー当日。
過ぎ越しの祭りのディナーは”セダ-”と呼ばれます。
彼女のお家に着くと、大きなテーブルの真ん中に
見慣れないものが並んでいます。
パセリや、胡桃とリンゴを煮たもの、卵や、
ビーツとホースラディッシュを混ぜたものなど・・・
これには一つ一つ意味があり、たとえば苦菜は
「エジプトでの苦労の日々」を思い出すためのもの。
そして、胡桃とリンゴは「苦しい中にも、喜びや
希望は神によって与えられる」という意味があるそうです。
セダーに参加する人たちは皆、台本のような小さな本を持ち、
家長の進行に従って、本の内容を朗読したり、台本通りの
質問や答えを口頭で行いながらディナーが進められます。
これは、伝統をきちんと次の世代に語り継ぐための目的が
有るそうです。
その後は、和やかにお食事。
初めて味わう料理がたくさんありました。
Matzo(マッツォ-酵母を入れずに焼いたパン)を入れたチキンスープ
Brisket(ブリスケット:牛肉の煮込み)-オーブンで4時間も煮込んであるそうです
ユダヤ人の宗教行事に参加させていただき、
本当に貴重な経験をすることができました。
今まで本で読んだり、テレビで見たことしかなかった世界。
それを実際にこの目で見、そしてその文化の中にいる方たちと
お話しをし、さまざまなことを教えていただいたこと、
本当に感謝です。
いろいろなことを体験すればするほど、地球上に自分の知らない世界が
たくさんあることを思います。これからも見聞きすることを一つ一つ大切に
積み重ねていきたいな・・・と思う経験でした。